2018年2月17日土曜日

グレイテスト・ショーマン

昨日は仙台支部の総会がありました。
懇親会を終え「オサムちゃん、歌いに行くぞ」という先輩の二次会のお誘いを丁寧にお断りし、「歌を聞くならこちらでしょう」と行ったのが映画館。
ミュージカル「グレイテスト・ショーマン」です。ちょうど昨日から上映だったのです。


19世紀半ばのアメリカ。幼なじみの妻チャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)を幸せにすることを願い、挑戦と失敗を繰り返してきたP.T.バーナム(ヒュー・ジャックマン)は、オンリーワンの個性を持つ人々を集めたショーをヒットさせ、成功をつかむ。
しかしバーナムの型破りなショーには根強い反対派もいた。
裕福になっても社会に認めてもらえない状況に頭を悩ませるバーナムだったが、若き相棒フィリップ(ザック・エフロン)の協力により、イギリスのヴィクトリア女王に謁見するチャンスを手にする。レティ(キアラ・セトル)たちパフォーマーを連れて女王に謁見したバーナムは、そこで美貌のオペラ歌手ジェニー・リンド(レベッカ・ファーンガソン)と出会う。
彼女のアメリカ公演を成功させれば、一流のプロモーターとして世間から一目置かれる存在になれる。そう考えたバーナムは、ジェニーのアメリカ・ツアーに全精力を注ぎ込むと決め、フィリップに団長の座を譲る。
そのフィリップは、一座の花形アン(ゼンセイヤ)との障害の多い恋に悩みながらも、ショーを成功させようと懸命に取り組んだ。しかし、彼らの行く手には、これまで築き上げたものすべてを失いかねない危険が待ち受けていた。(オフィシャルより)


実話ベースの映画です。
P.T.バーナム(1810年ー1891年)は、様々な仕事を経て興行師として成功した人で、ショーとしてサーカスを確立した人です。
この映画は100年以上前の古い時代を描いていますが、音楽とダンスは今の時代の新しいもので、かなりキレが良く気分が上がります。


主人公バーナムは、階級的差別の中、極貧から成り上がりたいという野心いっぱいで生きて来ました。
最初は、「階級を超えて結婚した妻を幸せにしたい」「それだけで生きよう」と努力を始め、上を上を目指して生きていくうちに、次第に自分の立ち位置がわからなくなる…
いつの間にか、手段が目的に変わってしまっていたのでした。

バーナムは、自分の人生が成り上がりを実現し始めていることを実感しながらも「やはり偽物なのだろうか、社会の誰もが認める本物になりたい」という葛藤の中で新しい興行に手を付けます。この先はネタバレにもなるので観ていただくとして・・・。

彼のサーカスは、観客には圧倒的な支持を受けながらも、世間からは常に偽物と言われ続けて蔑む者も多かったのです。
実際に社会的に陰でひっそりと暮らしていた身体的マイノリティや、人種的マイノリティなどを、陽の当たる表舞台に立たせショーをするのだから、良くも悪くも当時の社会に驚きで迎えられたのでしょう。

このマイノリティたちを舞台に上げることを、この映画では「誰もがオンリーワンになれる場所をサーカスというエンターテイメントの世界に作り出し、人々の人生を勇気と希望で照らした」という視点で描いています。
マイノリティで社会に受け容れられなくても、レティたちパフォーマーは「This is me」と歌い上げています。これ名曲です。
いわゆる「アナと雪の女王」における「ありのままに」ですね。
いかにも現代のハリウッドが創りそうなテーマです。

では、バーナムには最初からマイノリティたちに対する偏見はなかったのでしょうか。
サーカスを始めたバーナムにはマイノリティに対する偏見があるからこそ、それを見世物にするという発想があったはずで、映画の中の名セリフの「人と違うから輝くんだ」は後付けとしか思えないのです。
バーナムは、もともとサーカスを始める前に、観客は怖いもの奇妙なものを見たいはずだと言って、怪しい見世物小屋を作ったわけですから。
もちろん実話ベースである限り、作り手側も十分それを意識して、映画の中でもバーナムのそんな側面も盛り込んでいます。

だから、私がこの映画を観ている間、この主人公に感情移入ができませんでした。私の手放しで絶賛ではない部分です。

しかし、この映画はミュージカルです。しかも110分程度のテンポの良いものです。
その中で圧倒的な歌とダンスが披露されれば、面倒なストーリーの裏にある暗闇など考えている余裕などあるわけがありません。
このミュージカル、歌とダンスは最高ですから。
クライマックスの集団ダンスシーンなどですべては歓喜の中で吹っ飛びます。
そう、映画の観客は私も含め、主人公の言う「最も崇高な芸術は人を幸せにすること」の魔法にかかるのです。

そして最後に、ショービジネスとは違うバーナムの娘の舞台が待っています。
この舞台に向かうバーナムの乗り物と2人の娘のバレエを観るとまた魔法にかかります。

結局、この映画は勧めるかと言われれば、もちろん勧めますよ。
ミュージカルはどうも違和感があると言う人ならやめたほうがいいかもしれません。ストーリーだけなら薄っぺらいですから。
しかし、ミュージカル好きなら絶対に楽しめるでしょう。
空中ブランコでの愛を告げるシーンなどの印象的な名シーンも多いですし。
環境が許せば、IMAXなどのできるだけ良い映像と良い音響の映画館で鑑賞して欲しいと思います。


私はもう一度観に行くでしょうし、動画が発売されたら買うでしょうね。