2016年8月2日火曜日

津軽vs南部の境界争い

私たち土地家屋調査士は土地の境界の専門家として、昔から様々な境界紛争解決のお役に立ってきました。

境界の争いは、本来財産権の争いのはずなのに、実は人間関係の問題が多いのです。
争っているはずの土地の価値が20万円程度のものでも、「金の問題じゃねえ。アイツをやっつける」とか言って、200万円も300万円もかけて裁判をすることもあります。
気持ちの問題だと言っても、本人にとって何よりも大きな問題になります。

境界に関する相手の主張を聞き、頭に来て訴える前に、「その相手の主張がどこから来ているのか」「相手は何故そう思ったのか」だけでも聞いてみると、紛争の解決の糸口を見つけることがあります。

私たち土地家屋調査士は、皆さんの境界に関する紛争などを解決するためのお役に立ちたいのです。
そこで、全国50会の土地家屋調査士会には、「裁判外の紛争解決機関」として、話し合い(調停)の手法による境界紛争解決支援機関である「境界ADRセンター」を設置しています。

また、法務局の筆界特定手続のお手伝いとして、たくさんの筆界調査委員を出して、不明な筆界の位置を捜しています。

そして、日本土地家屋調査士会は「境界紛争ゼロ宣言」を打ち出しています。



さて、そんな私たちの「土地家屋調査士の日」をご存じでしょうか。
7月31日です。
1950年(昭和25年)7月31日に土地家屋調査士法が施行されたことを記念して、7月31日は土地家屋調査士の日と定められたのです。

その土地家屋調査士の日に、毎年全国の土地家屋調査士会が一斉に「不動産表示登記無料相談会」を開催しています。土地や建物の登記の相談に加えて、境界問題の相談も受けています。
宮城県土地家屋調査士会も含めて、今年も全国で開催いたしました。

さて、今年の青森県土地家屋調査士会は、無料相談会に加えてこんな仕事もしました。




(7月28日の河北新報から)

津軽vs南部 境界争い綱引きで決着!?

津軽藩と南部藩の領地の境目を示す藩境塚

 歴史的背景から犬猿の仲とされる津軽藩と南部藩との境界を示す青森県史跡「藩境塚(四ツ森)」(平内町、野辺地町)で、かつての争いにちなんだ「綱引き合戦」が30日に行われる。主催は青森県土地家屋調査士会。「土地境界紛争のプロ」が長年の領地争いに公正な審判を下し、和解を促す。
 「藩境塚」は江戸時代、津軽藩と南部藩の領地の境目として奥州街道沿いに設置された。現在の平内町狩場沢と野辺地町馬門にまたがり、双方に二つずつ、計四つの盛り土から成る。
 県土地家屋調査士会は毎年、7月31日の「土地家屋調査士会の日」に合わせて地域貢献活動を実施してきた。今年も職業の特性を生かした企画を練る中、野辺地町職員から提案を受けた。土地柄を生かした地域振興イベントにしようと考え、両町の快諾を得て、実現の運びとなった。
 綱引きは、津軽、南部、土地家屋調査士の3チーム(男女8人、体重計550キロ以内)によるトーナメント戦。飛び入り参加可能なエキシビションも予定する。平内名物のホタテや野辺地特産の葉付き小カブの振る舞いや測量体験なども楽しめる。
 県土地家屋調査士会の赤平裕記広報部長は「領地争いの舞台であえて綱引きをすることで地域を盛り上げたい。土地境界のプロとして戦いを見届けようと思う」と意気込みを語る。連絡先は同会017(722)3178。

今年の決着は、津軽でも南部でもなく、津軽や南部の子どもたちによる混成チームとのことです。
子どもたちの未来には津軽も南部も無いのです。
最高の紛争解決でした。
小林要蔵会長の青森県土地家屋調査士会も、良い仕事をしましたね。