2016年7月15日金曜日

マネー・ボール

我がベガルタ仙台は、今とても苦しんでいます。
選手層の薄さの中、多くの怪我人を抱えて、選手のやり繰りに苦労しています。
大金持ちのチームなら簡単に助っ人を呼んでくることができるのですが、我がチームは使えそうな選手を引き抜かれる方の逆の立場です。
豊富な選手を抱えて優勝を目指すチームと、現有戦力をやり繰りしながら上位を目指すチームでは、その戦略も異なるでしょう。

さて、大リーグでそんなお金のない弱小球団のGM(ゼネラルマネージャー)を主人公にした映画が「マネー・ボール」(2011)です。主人公はあのブラッド・ピットです。



野球選手が主人公でも監督が主人公でもなく、GMビリー・ビーン(ブラッド・ピット)が主人公の実話です。

ビリー・ビーンは、かつてニューヨーク・メッツから1巡目指名を受けたスター候補生だったのですが、結局成績が出せずに27歳で引退します。その後スカウトを経てオークランド・アスレチックスのGMになるのですが、そのアスレチックスは資金難で、優秀な選手を獲得することができず、当然弱いチームでした。
ビリーは、イエール大学卒業の野球経験のないピーター・ブランドに出会いました。ピーターは野球経験からくる勘や選手の見た目からの評価ではなく、各種統計から選手を客観的に評価するセイバーメトリクスを用いて、選手を評価する方法を提案しています。
この理論を採り入れたビリーは、他のベテランスカウト達の反対を押し切り、他球団から評価されていない選手を再評価し採用します。
監督とも対立し、四面楚歌の中、低予算でチームを改革しようとします。


この映画を観ていると、どうしても我がベガルタ仙台を考えてしまいます。
ベガルタ仙台も現役の日本代表もオリンピック代表もいません。
毎年、個人の能力というよりも、選手の組み合わせと戦術により戦っています。
それでも2012年にはJ1の首位を走っていました。
しかし、あと一歩というところでサンフレッチェ広島に逆転優勝をさらわれました。
「あの戦力のベガルタ仙台でJ1準優勝を果たしたことは立派」という言い方も誤りではないでしょう。
しかし、2位ではダメなんです。
優勝でないと誰も覚えてもくれません。

ビリーも同じでした。
優勝以外は満足しません。
だから勝つために周囲と対立してもこの改革を断行しました。
このプロセスを観て、選手でもなくGMが主人公のスポーツ映画で私は熱くなりました。

この映画は実話です。
実話を映画にするのは難しいです。
どこから始まりどこで終わるか、その切り取り方で物語が決まります。
また、物語なら「本当は結末をこうしたい」ということがあっても、実話だから改竄はできません。
その制約の中で、とても良い映画になったと思います。
むしろ、だからこそ説得力のある映画になったのでしょう。

実話だから結末もネタバレでは無いでしょう。
この改革は成果が出ます。
「一定の」成功もします。

そして、ビリーはその成果でボストン・レッドソックスからGMとして破格の条件で引き抜きを打診されます。豊富な資金のあるレッドソックスなら、この理論の実現を完成させられます。
さて、野球人の夢や思い込みを統計と数字で切り捨てながら、結果を求めて戦って来た男の選択は・・・。


この映画面白いです。
少なくてもスポーツ好きなら楽しめると思います。

なお、更に野球に興味のある方は、日ハムも採用したという「セイバーメトリクス」理論を調べてみてください。とても面白いですよ。