2016年3月28日月曜日

「今日何ができるようになった」という日記

私の事務所には、独立開業したいという方がよく相談にいらっしゃいます。
その中にはぼやっとしたイメージだけで具体的な計画が見えない方が多いです。

「1年で開業したいと思っています」
それなら、「何故1年なのか?」を答えられなければなりません。

たった一人の個人事務所でも起業です。
それだけの計画も立てられないのなら、事務所経営はとても難しいものでしょう。

まずは、具体的に独立開業に向けて何が不足しているか確認しなければなりません。
「資金としてどれだけ不足しているのか?」
「専門家の能力としてどれだけ不足しているのか?」
それが把握できれば、ひたすらその不足分を埋めていくだけのことです。

いつまでも開業できない人は、その具体的な分析ができないのでしょう。
「独立開業にはどれだけの資金が必要か?」
ネットで調べても総額を聞いても意味がありません。嘘も多いです。
自分のこととして、ひとつひとつ具体的に算出しましょう。
わからなければネットではなく具体的に取材しましょう。
具体的開業資金と自分の貯金の差額が埋まったときに開業できるのかもしれません。

もっと大事なのは、専門家の能力としてどれだけ不足しているのかの自己能力の棚卸しです。
これも資金計画と同じ作業なのです。
具体的な能力の差額を埋めていく作業ですから。

「何年修行したら独立できますか?」
という質問は一般論では答えられません。
「1年で大丈夫」とは言えません。
でも「1年じゃ無理」とも言えません。
その人の能力がわからないからです。

先日の相談で「4月から土地家屋調査士事務所で雇ってもらえることになりました」という方がいらっしゃいました。
鈴木「良かったね」
相談者「1年で開業したいと思っています」
鈴木「そう。それで1年で何を身に付けたいの?」
相談者「・・・」
鈴木「では、昨日何をしたの?」
相談者「・・・」

どこかに勤めれば修行ができると思っているようです。
自分でテーマや具体的疑問を持たない人は、どんな立派な先生の事務所に入っても意味が無いでしょう。
指示されたことをしているだけでは、作業はしても修行にはなりません。
入る前から何かテーマをもって主体的に動くから疑問も持つのです。
そして、その疑問を持って先生につくから飛躍的に伸びるのです。

「今日は○○だから、明日から」という人は結局やりません。
ダイエットもおなじですよね。

私は、そのような方には「今日何ができるようになった」という日記を書くように指導しています。
毎日「今日何ができるようになった」「今日何がわかった」というだけの日記を書くのです。
「彼女にふられた日記」とは別に書きましょうね。

毎日毎日「何ができるようになった」「何がわかった」という日記を書いていると、日々の生活で意識が変わってきます。毎日何かできたり、何かわかるようになります。
そして、具体的な疑問と次のテーマも見えてきます。

考えてみてください。
あなたは1年で開業したいのでしょう。

毎日新しいことが1つできるようになったとして、1年で365しか増えないのですよ。







2016年3月19日土曜日

仙台法務局「3.11東日本大震災特別展示

仙台法務局1階ロビーで「3.11東日本大震災特別展示」が開催されています。
ご案内が遅くなり恐縮ですが、期間は3月1日〜3月25日ですので、まだ1週間の余裕があります。パネル展です。



東日本大震災では法務局も復興のために活躍しているのですが、被災当時、まずは法務局自身も被災者でした。
以下は震災による庁舎等の被害を示しています。


仙台法務局管内の法務局の被害もこのようなものでした。
岩手では宮古支局、大船渡支局、一関支局。
宮城では石巻支局、気仙沼支局。
福島では富岡出張所。
これらの法務局は業務不能ということになりました。


上の写真は気仙沼支局です。
2階までが水没しました。



水没した登記簿です。復元できたものも多数有りますが、これは復元が不可能なものです。

登記所備え付け地図も大きな地殻変動のために、そのまま利用することができなくなり、それらの実態調査をし、地図を修正したり境界復元作業をしました。






この作業は、宮城県の土地家屋調査士がお手伝いをさせていただきました。







建物も甚大な被害がありました。建物が倒壊又は流失したものについては、法務局が職権による滅失登記を行いました。これも宮城県の土地家屋調査士がお手伝いをさせていただきました。



その他にも、被災地の区画整理手法によるかさ上げ整備や、集団移転、中間貯蔵施設建設等々、復興に関して必要な登記が様々考えられます。


役所に備えられていた戸籍の一部も失われましたが、戸籍副本データが残っていましたので、無事再製できました。




この他にもたくさんのパネルが展示されていますので、仙台法務局のお近くに行くことがあれば、ご覧ください。


仙台法務局

仙台市青葉区春日町7番25号
仙台第3法務総合庁舎







2016年3月16日水曜日

パンの缶詰 非常用食料

以前も書いたパンの缶詰です。
非常食として買っていますが、結構美味しいのです。
朝食に食べました。




東日本大震災から5年過ぎました。
節目節目にこんな非常食を食べて、入れ替えています。

皆さんの家には非常食がありますか。
あの震災の時には食べ物も飲み物も無くて困りましたね。
だから、普段から何か非常食は用意すべきでしょう。

さて、震災以降、各地の研修会で「震災」の話をすることが多くなりました。
その際にも、非常用の食べ物と飲み物の話もしています。

市販の非常食には5年も保存できるものがあります。
国産は3年が限度になっているようです。
これらの食べ物は、停電で冷蔵庫が使えなくても保存できる食べ物でなければなりません。

私の考え方は、非常食に3年や5年もの保存期間は不要と思っています。
東日本大震災のような大災害が起きたときでも、せいぜい10日で支援物資が届くでしょう。
だから家族人数の10日間程度の保存期間と量の食料が最低必要と考えます。

最近の非常食はとても美味しくなりました。
この缶詰のパンはとても美味しいです。

とは言っても、食べ慣れない非常食を無理に用意しなくても良いでしょう。
自分の好物を用意すべきと思います。
被災の中でも食べ物は大きな楽しみです。
その食べ物が好きなもので美味しければ、より元気になることができるはずです。

実際は1か月程度保存できる食べ物を家族10日分確保していれば十分です。
それを次々にローテーションで消化すれば良いと思います。
たとえば、毎月11日に非常用食べ物を入れ替えるために、その非常用食べ物を家族で食べるのです。
毎月1回災害の話をしながら食べることが理想ですが、一年以上の保存期間の食料を毎年1回家族で開けることにしても良いと思います。

長い保存期間を持つ食べ物や飲み物を準備しても、かえって保存期間が切れていることに気が付かないことがありますね。

この機会に確認してみてください。


2016/03/16追記
当然ですけれど、この食べ物は火も水も無くても食べられるものを考えましょう。

2016年3月11日金曜日

5年

5年経ちました。

1年1年、手を抜いている人はいません。
でも物事の進みは遅いです。



3月11日金曜日 14時46分

今日は晴れです。
静かです。




黙祷




















2016年3月10日木曜日

今日は何しているの?

先日の土地家屋調査士事務所開業ガイダンスin大阪でも話題になりましたが、私のところには以前から補助者修行したいという相談が来ます。

補助者とは、土地家屋調査士や司法書士に雇用され、土地家屋調査士会や司法書士会に登録されて、資格者の補助をしている人のことです。

就職目的の方もいますが、私のところに相談に来る人は合格者が多いので、就職目的と違い開業を前提とした修行が目的です。

雇用者側も被雇用者側も、その目的を曖昧にしたまま始めるといずれ気まずいことになります。
お互いに「そんなはずではなかった」ということになります。
必ず目標と期限をハッキリ伝えておいた方が良いでしょう。

補助者について、私は募集していませんが、他の事務所には何人か紹介しています。

ただ、残念なこととして、補助者希望の方の中には学ぶ姿勢の甘い方が多いですね。

開業する前提で補助者修行の場所を捜しているとして、その方に「それで、今は何をしているの?」と聞くと、「えっ?・・・」という顔をします。
何も考えていないようです。

補助者になれば手取り足取り教えていただけるものと思っているようです。
だから、補助者になるその日を待っているだけなのでしょう。

受験勉強も同じですね。

「4月から受験予備校に行くんです」
「そう、それで今は何しているの?」
「えっ?・・・」

予備校は受験のポイントを教えてくれたり、受験勉強のペースメーカーだったりしますが、どんなに良い先生がいても、本人が勉強しなければ絶対に合格しません。
だから、予備校が開校される前から、自分で勉強を始めていなければなりません。
それは、合格者の皆さんはよくご存じでしょう。

早く開業したいのなら、補助者修行も同じです。

何ができないのか。
だから何を学ぶのか。

そのためにも補助者に雇ってもらう日まで練習をすべきです。
そうでないと、補助者生活は、修行ではなく就職になります。





2016年3月6日日曜日

毎日毎日うすい紙をめくること

3月3日は私の土地家屋調査士事務所開業35周年の記念日でした。

5年前の3月3日に30周年記念日のブログを書きました。
30周年を迎え、少し休みを取ってリフレッシュしようかと思って、振り返りながら書いたブログでした。

しかし、その1週間後にあの東日本大震災が起こって、災害対策本部長として震災対応等で土日の休日すら無くなり、土地家屋調査士会の会長も辞められなくなり、結局6年間つとめました。
あれから5年走り続けています。
私の土地家屋調査士人生は、走り続けなければならないのでしょう。

35年前の開業当時のことは覚えています。
ひとつひとつが不安で、ひとつひとつを頑張って、ひとつひとつが解決して、ひとつひとつを喜んで・・・
すべて印象に残っています。

あの頃は、明日のことが不安でした。
大学生の頃のアルバイトでさえ1年先までの約束ができるのに、社会人になってから明日の約束の無い世界はとても不安でした。

でも、専門家として個人事務所を開業するということは、そういうことなのです。
結局、未来が大丈夫という確固たる根拠なんてありません。
私の納得の仕方は「去年もなんとかやれたから今年もやれるだろう」ということでしかありません。


私の友人から教えていただいた話です。

野上照代さんという人がいます。
「羅生門」でスクリプターとして参加して以降、黒澤明監督のほぼ全作品に関わり、後に黒澤プロダクションのマネージャーにもなる方です。
その野上さんの若い頃に、黒澤監督が言った言葉だそうです。

「毎日毎日うすい紙を1枚1枚めくっていくと、いつかは分厚い本になる。のんちゃん、仕事ってそういうものだよ。」









2016年3月1日火曜日

宮城公嘱協会『設立30周年記念講演』

公益社団法人宮城県公共嘱託登記土地家屋調査士協会が、
『設立30周年記念講演』〜復興から未来へまちづくり〜
を下記のとおり開催します。

オープンの講演会ですので、興味の有る方は土地家屋調査士に限らずにお気軽にご参加ください。

*とても素敵な参加記念品(当社比)がもらえるようです。


公嘱協会設立30周年記念講演

《日   時》   平成28年3月7日(月)午後1時~

《場   所》   ホテルメトロポリタン仙台 「千代の間」

《記 念 講 演》        午後1時~午後4時

1.「協会が行った震災関連業務について」
  公益社団法人宮城県公共嘱託登記土地家屋調査士協会
  業務部長 高橋一秀

2.「震災に対する地図の効果」
  講師:仙台法務局民事行政部復興事業対策官 山本貴典 氏

3.「復興後の日本経済」
  講師:慶應義塾大学大学院教授 岸 博幸 氏