2015年5月2日土曜日

イヴリー・ギトリス ヴァイオリン・リサイタル

イヴリー・ギトリス 20世紀最後の巨匠

4月26日多賀城文化センターでリサイタルが開かれました。
多賀城文化センターでは「仙台で開催されずに何故ここで?」というコンサートがたまに開催されます。チェックしておかなければなりませんね。



イブリー・ギトリスは1922年イスラエル生まれの92歳。
現役最年長の世界的ヴァイオリニストです。

年齢に着目されて語られることも多いですが、純粋に現役の音楽家として素晴らしいです。とても美しく、とてもおしゃれな演奏をします。

4年前の東日本大震災の直後にも仙台・石巻で慰問演奏をしてくれました。
多くの音楽家が来日をキャンセルした中で、彼は自ら日本に行かなければならないと考えて、予定もなかったのに動いてくれました。
当時でも88歳。あの不自由な時期によく被災地に来てくれました。

当時の記事です。

被災地にバイオリンの調べ=ユネスコ大使、88歳奏者-宮城・石巻
(時事通信 011/06/01-16:40)

東日本大震災で被害を受けた宮城県石巻市で、ユネスコ(国連教育科学文化機関)親善大使でバイオリン奏者のイヴリー・ギトリスさん(88)が1日、避難所の石巻市立女子高校を慰問し、約200人の被災者や生徒を前に演奏した。

イスラエル人のギトリスさんは、これまで二十数回来日している親日家。海外の演奏家が大震災を受け訪日を見合わせる中、被災者を見舞った。
同校の体育館で、エルガー作曲の「愛の挨拶」と日本の唱歌「浜辺の歌」を披露。
テンポを変えたり、即興を交えたりしながら、演奏の合間には「私の心は皆さんと一緒にいます」と語り掛けた。被災者は、ギトリスさんが奏でた30分間の柔らかな調べに聞き入っていた。

また翌年3月11日に再度来日し、東日本大震災の津波で流された流木から作られたヴァイオリンを最初に弾いてくれました。

今回もコンサートの前日、児童館や災害住宅にアウトリーチ・コンサートをしに回ってくれたそうです。子供には子供向きの、お年寄には震災時に駆けつけた話をしながら演奏してくれたそうです。

以前の彼の言葉「たとえ音程が間違っていても美しい音は、1000の正しい音より、遥かに価値がある」は心からそのとおりだと思います。

確かに、今回の演奏でも楽譜通りの予定調和的な音楽ではなく、彼にしか生み出すことができないとてもとても美しい音楽に触れることができました。
とてもエネルギッシュでとても甘美な音楽と、彼の暖かい言葉に酔わされるひと時でした。


5月6日に東京で、5月10日に高知でもコンサートが開かれます。
興味とお時間の有る方は彼の音楽の世界に触れるのは如何ですか。
感動と喜びをもらえるはずです。