2015年3月9日月曜日

それぞれの役員の求められる資質

次世代の役員候補のために論点整理をしたいと思います。

支部と土地家屋調査士会(調査士会)と日本土地家屋調査士会連合会(日調連)の役員の求められる資質はそれぞれ違います。

たんに地元で売り上げが多くて鼻息の荒いだけの方が、支部や調査士会や日調連の役員に出て、「調査士の未来は俺の事務所を目指せ」的なお考えで発言されて困ることがあります。
昭和の時代に頑張ったのでしょうが、平成27年の土地家屋調査士の最先端の業務を理解しているのでしょうか。現在が分からなければ、更に未来は語れませんね。
また地元のことしか分からずに、それがスタンダードだと思って、全国で発言なさる方がいます。その立場ならもう少し視野を広くして欲しいと思います。

日調連は、土地家屋調査士法第57条第2項でその「目的」が定められています。
「調査士会連合会は、調査士会の会員の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、調査士会及びその会員の指導及び連絡に関する事務を行い、並びに調査士の登録に関する事務を行うことを目的とする。」

そして同第60条で「建議等ができる」と定められています。
「調査士会連合会は、調査士又は調査士法人の業務又は制度について、法務大臣に建議し、又はその諮問に答申することができる。」
この部分がとても重要です。制度を直接語ることができるのは日調連の理事だけです。

基本的に日調連役員は直接会員に呼びかけることはありません。50会で選ばれた会長達を通じて指導・連絡をします。
ですから日調連役員は制度を勉強して指針を示し、「理論に基づく説得力」がなければなりません。

調査士会の目的は、調査士法第47条第2項で定められています。
「調査士会は、会員の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする。」
調査士会役員は、日調連の方針を理解して会員を指導する役割が重要です。
そして調査士法第56条により会員に注意勧告をすることができます。
調査士会役員は、直接会員と会い、身分に関する調査もできますので、法的バランス感覚を持って、会員との「信頼関係に基づく説得力」がなければなりません。

支部役員はもっと小さなコミュニティの中で全員の顔が見える中で会員のお世話をします。調査士会と連携して会員指導をします。「人間力」が磨かれていないと会員は付いてこないでしょう。

ですから、各々少し求められる能力が異なります。
もともとの資質に加えて、組織の目的である方向の勉強が必要です。
もちろん全部の資質や知識を備えている人もいるでしょうが、選ばれる方も選ぶ方も、そこは勘違いしないようにしたいと思います。

支部役員もしないで調査士会理事は無理とか、支部長を経験しないで調査士会役員は無いとか、調査士会副会長か会長経験者で無いと日調連理事にはなれないとか、地域によってはこんなことを聞くことがあります。
私個人的には、そのような考え方に反対です。上記のとおり若干求められる資質が違うことと、どんな組織にも若い人からベテランの人までのバランスの取れた構成が必要だからです。
だって市長をしてからでないと県会議員になれないとか、そんなことは無いでしょう。

今月東北ブロック協議会では「次世代の役員のための研修会」を開催します。
それぞれの役員に必要な考え方の基本を、キーワードを捉えて解説し議論します。
次の世代に基本的な考え方を整理して、広い視野と筋の通った理論体系を構築するお手伝いができれば良いと考えています。