2014年3月30日日曜日

ORENZ(オレンズ) 0.2 mmのシャープペン

シャープペンの芯の太さの種類は本当に増えました。

日本では一番普及しているのは、直径0.5mmの太さですね。
この芯の太さの好みは、当然漢字の国とアルファベットの国では違うようです。
ちなみにアルファベットの国では0.7mmが多いようです。

私達の業界では、手書きで製図していた時代があるので、0.3mmに馴染みがありますね。また製図では、2mmの芯をホルダーに入れて先端を細く削りながら使ってもいました。そういう意味では、私達は様々な芯の太さに慣れていますね。

前述のホルダー芯を除けば、市販の芯の直径は、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.7mm、0.9mm、1.3mmが有ります。
以前も芯の太さについてはブログに書きましたね。

今回0.2mm芯のシャープペンを買いました。
ハイポリマー芯の発達によりここまで細い芯が市販される時代になりました。
新製品です。PentelのORENZ(オレンズ)です。


ORENZ
「折れない」を商品名にしたのですね。
文具界に有りがちなネーミングですね。
確かに分かりやすいけれど、どうにかならないんですかね。


先端に細いパイプが有りますが、これが芯をサポートして折れにくくしています。
説明書には先端から芯を出さずにそのまま書くように指示がありました。
つまり0.2mmの芯をパイプで守りながら、芯の減るのに合わせてパイプが引っ込む機構です。
簡単に見えますが、筆記の際の斜めに紙と接しながら芯と同時にパイプを引っ込めていくのには、工作精度の高さを求められます。そして紙と接する部分の摩擦の問題もあります。この摩擦を減らさないと、スムーズな書き味が損なわれ、本末転倒になります。
その点このオレンズはとても良くできています。
日本の文具の底力を見ることができます。
これで500円の定価は立派なものです。


筆跡で芯の太さが分かるでしょうか。
上から0.2mm、1,3mm、0.4mmです。


芯を並べてみました。
左から
0.2mm Pentel ORENZ
0.4mm Pentel GRAPH1000 for pro
0.5mm 三菱鉛筆 uni SHIFT
1.3mm KOKUYO campus
4.0mm パイロット クロッキー

私が一番使っているのは0.4mmです。
細さと折れにくさのバランスが良いのです。

他に何かを考えるときには0.9mmでスケッチブックにぐるぐると書くのが好きです。
0.9mmは絶対に折れません。そして少々紙質の悪い紙でも引っ掛かりません。
考えるときにペンの引っかかりが、思考の引っかかりに直結しますから、お勧めです。

では、何故0.2mmの芯が必要だったのか。
ええ、実はそれほど必要ありません。
私のコレクションを見たら、0.2mmのシャープペンだけ持っていなかったのですね。
他の芯の太さは、今まで意識していなかったけれど、結局全部持っていますね。

いいんです。文具は持っているだけで嬉しいんだから。





2014年3月24日月曜日

調査士賠償責任保険未加入者が3分の1

今日は久しぶりに暖かい日でした。
これから春に向かって、気候も良くなって、花が咲き、活動的な気持ちになってきますね。
車からオートバイや自転車に変えたくなる気持ちの良い季節になります。

ただ、これからが交通事故の多くなる季節でもありますね。
雪道は皆気をつけますから、大きな事故は起きません。
むしろこれからが心配です。
細心の注意をしていても「もらい事故」もありますし。

やはり任意保険もしっかり掛けておく必要が有ります。
若い人は「お金が無いから保険に入らない。運転には自信がある」と言いながら二輪車を飛ばしていたりします。二輪車を買う金やガソリンを入れる金は有るのですね。

私は、「運転技術の問題ではない。保険に入る金が無いのなら運転はするな」と言ってきました。
皆さんも自分の息子や娘がそんなことを言ったら、同じ事を言うでしょう。
無保険で運転する息子がいたら心配でしょうね。

さて、皆さんが加入されているはずの土地家屋調査士賠償責任保険も同じです。
宮城会には、毎年保険会社から何人加入しているかの連絡が来ます。
本日その加入者数の報告が来ました。
宮城会会員加入者は200人だそうです。
ということは宮城会の3分の1の会員の皆さんは未加入だということですね。
私はもう少し加入率が高いと思っていました。

必ず入ってください。
皆さんの土地家屋調査士としての腕を心配しているのではないのです。
土地家屋調査士の世界も、やはり注意していても「もらい事故」もあるかも知れません。
訴訟社会です。とばっちりもあるかも知れません。
不動産の事故の際の賠償は大きな金額になることも想定されます。

お客様に対しても、保険に入ることは格好が悪いことでは無いです。
「細心の注意を払っても万が一何か有った場合はこれだけの補償ができる」ということは、むしろ安心してもらえることです。
また新人こそ、賠償額の大きめのものに入ってください。
「隠れた瑕疵が見えてないかも知れない」と謙虚になってください。
まだ経営的に安定していないのに保険料も苦しいのは分かります。
でも、あなたを守るものです。
そうでないと、もっと苦しいことになりますよ。

私は長年一番高いプランに入っています。
それでも年に数万円ですよ。
税務的にも当然の必要経費ですから。



2014年3月23日日曜日

永遠の0

やっと観ました。
何かと話題の「永遠の0」
正月映画なのにもう3月の末ですね。

原作があって、それをベースに映画が作成された場合は基本的に原作を読んでから、映画を観ることが原則としていました。
この原作本は持っていたのですが、まったく読む時間が無くて、映画を観るタイミングが難しかったのです。それにしても、そろそろ映画館上映も終わりそうだったので、先に映画を観ることにしました。
ここにこだわって、つい最近失敗したばかりだし

こういうときは、世間のネタバレ的な批評からできるだけ離れるようにしておりましたが、ここまで引っ張ると意外と情報遮断も難しいものです。それでも今回はほぼ先入観無しで観ることができました。

太平洋戦争末期。天才的な零戦の操縦技術を持ちながら、生還することにのみ執着し、仲間から「臆病者」と蔑まれた男がいた。
主人公佐伯健太郎の実の祖父宮部久蔵である。
佐伯がその祖父がどういう人物であったかを調べようと、祖父を知る人々に会いに行く。
人々が語る宮部のエピソードから意外な人物像が浮かび上がる。
はたして生還することのみに執着した男が最後特攻により帰らぬ人となったわけは何だったのか。
家族に残そうとしたメッセージは健太郎に伝わったのか。

監督の山崎貴氏には「三丁目の夕日」で泣かされたことがあるので、今回も構えていきました。
以前も書きましたが、私は泣きそうな映画は、必ず一人で行き、後ろから2,3列目少し奥目の中程の座席に座り、皆が出てからゆっくりと映写室を出ることにしています。
今回もそのような映画だろうと思っておりましたので、完全無欠なポジションを確保して観ました。

さすがに山崎監督のVFXが素晴らしく、饒舌すぎない演出も良かったと思いました。

でも泣けませんでした。
あまりにも構えていったからかも知れません。
または、どこか腑に落ちなかったからかも知れません。
どちらなのでしょうか。

物語の真相の部分がどうも釈然としません。
先の読みやすい伏線があり、その回収を観客に任せている描き方は悪くないと思います。
この映画は、最大の謎である「あれだけ生きて帰ることに執着していた宮部が何故特攻に踏み切ったのか」を解明する物語です。
この最大の謎の解明も観客に任せています。

ここの自由解釈の部分で戦争賛美や特攻美化との批判の余地が出てくるのかも知れません。
私には、この映画が特攻美化している意図は感じられませんでした。

もちろんこの映画で準備されている伏線とエピソードを丁寧に思い返して、制作者が意図した答えは理解したつもりです。
でも私にはそれではリアリティを持たないのです。
もちろん、これはあくまでも物語ですから、戦時中のリアリティを求めているわけではありません。宮部の気持ちの変化のリアリティのことです。

宮部は本当にそれで納得できたのでしょうか。
宮部はそれで託したことになるのでしょうか。
ネタバレになるので、ここには詳しく書きませんが。

原作を読んでから観れば、そのあたりが腑に落ちるのかもしれません。
時間制限のない原作にはもっと理解を深めるファクターが描かれているのかも知れません。
少なくても、ラストシーンの宮部のあの表情は、置かれた現状の中で納得しているはずですから。
原作を読んでそれからもう一度語りましょうか。

それにしても、岡田准一は本当に良い役者になりましたね。





2014年3月19日水曜日

3年経った南三陸町

昨日は、法テラス相談員として南三陸町に行ってきました。

ほぼ更地の状態の昔の中心地を通り法テラス南三陸に着きました。
瓦礫はほぼ片付きました。でもまだ更地です。
毎回来るたびに心が揺れます。

南三陸町 復興工事中

以前も紹介したガソリンスタンド跡

コンビニ

中心部 カーナビの地図参照
でもこの被災地のニュアンスの伝え方がとても難しいのです。
先日も書きましたが「復興が進んでいるのか」という問いに答えることはとても難しいのです。
また、復興が進んでいないと伝えると、犯人捜しをしたくなります。
現場は皆ギリギリで頑張っています。手を抜いている犯人はいないはずです。
でも結果的には、まだ土地の所有者の住むことができる状態ではないところが多いです。
政治も行政も企業も個人も、個々の努力だけでは解決しない日本の構造的な問題があるようです。

さて南三陸町でAさんに偶然会いました。
Aさんは2年程前に土地家屋調査士を廃業した方です。
私たち土地家屋調査士は震災直後から建物の滅失調査をしていたのですが、A調査士はこの南三陸町が担当でした。
その調査の際に現地の被災状況を見て、建物滅失調査だけでなくもっと何か直接的にできることがないか考えたそうです。
そこで彼は宮城県土地家屋調査士会を退会して、南三陸町の臨時職員になったそうです。
退会したことは知っていましたが、そのようないきさつで南三陸町に通っているとは知りませんでした。

あの被災状況を見れば、皆心が揺れます。
誰でも何かできることはないか考えます。
とにかく被災が、あまりにも広範囲であまりにも日常でしたから。
被災地だけでなく日本中が自分でできることをやってきました。

被災地の役所には土地や建物に関する専門家が不足しています。
Aさんもしばらくご苦労されると思いますが、よろしくお願い致します。
臨時職員の役割を終えて、土地家屋調査士に戻ってくるときには、もちろん大歓迎するつもりです。




2014年3月17日月曜日

ビフォア・サンライズ ビフォア・サンセット

最近公私ともに忙しく、例のレイトショー通いもできず、年末年始の映画も含め映画館ではしばらく観ていません。
話題になった映画も話題にならなかった映画も含めて、観たい映画、気になった映画が有りましたが、年明けからたった2時間強の映画館に行く時間を作ることができずにおりました。

そんな中で「ビフォア・ミッドナイト」が上映されているということでした。
あのビフォア・サンライズ(邦題:恋人までのディスタンス)、ビフォア・サンセットの続編です。これは観たいと思いました。(なんでこんな邦題になるんだと思いましたが)

ビフォア・サンライズはとても好きな映画です。
普段ラブストーリーは観ない方なのですが、これは何度か観ています。
そしてビフォア・サンセット。ビフォアミッドナイトから9年後に、リチャード・リンクレイター監督と主演のイーサン・ホークとジュリー・デルピーが、そのままで前作の気になる9年後を描きました。

そして今回がそのまた9年後を同じキャストで描いているそうです。前作のラストもとても余韻のあるラストでしたから、当然今回も観たいのです。
そこでビフォア・ミッドナイトを観る前にこの2作を再度観て、心を元に戻してから観ようと出張の合間に前2作を観ました。
これは何度観ても良いです。

ビフォア・サンライズ。観ている人も多いでしょう。
列車の中で偶然に出会ったジェシーとセリーヌが、近くに座った中年夫婦の喧嘩をきっかけに意気投合し、ウィーンで降りるジェシーと共にセリーヌは途中下車することになります。そして2人がウィーンの街を歩き回りながら会話を続ける一夜の物語です。
ウィーンの街で通りすがりに会う人達だけも気の利いた脇役になっていますが、映画全体としては、ほぼ2人だけの会話でできています。
お互いの過去の恋愛や、たわいもない話し、または若いが故の哲学的な考えなどを話しながら、お互いを探り、愛を探っていきます。
そして別れなければならない夜明けが迫ってきます。
もう少しで別れる人と決まっているから、愛を確認することをためらわせ、それでも良いのかという葛藤とが直接的な表現を避けて見え隠れします。この2人の会話がとても良いのです。私はとても惹かれました。
最後には半年後の再会を約束してフランスとアメリカに別れます。
この余韻のラストシーンが良かったです。

そして2作目、ビフォア・サンセット。
ビフォア・サンライズの9年後を描いています。
あの半年後に会えなかった2人が、9年後にパリで再会します。
今度はタイムリミットは85分間で、パリの街を歩きながらの2人の会話が始まります。
何故2人はあの約束の半年後に会えなかったのか。そしてお互いの気持ちはどうなっているのか、またはどうなったのか。彼らだけでなく観ている私も今すぐにも尋ねたいことです。
しかし、あれからお互いに9年経って大人になっています。ジェシーには妻も子もいるようです。だから直接的なお互いの気持ちを探る言葉は躊躇われます。
でも9年前よりも時間がありません。
たわいもない話しだけをしていて別れの時間を迎える訳にもいかず、かと言って今、どう伝えれば良いのかというジリジリした感じが良く分かります。
そして最後はやはり余韻のラストシーンが待っています。
このラストは、映画トップ10に入っています(当社比)。

そんな味わいを確認するために、時間がかかったけれど前2作を観ました。
さてやっとビフォアミッドナイトを観る準備ができました。

そう思って映画館を確認したら、先週で上映終了とのこと・・・




2014年3月14日金曜日

愛媛を中心とした大きな地震~防災の備えを

愛媛を中心に中国・四国・九州の広範囲で、強い地震がありました。
最大震度5強は愛媛県の西予市でありました。
怪我をされた方々も2桁の人数とお聞きしています。
地震に遭った地域の皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

とても怖かったでしょうね。
対岸の中国地方などは普段地震に縁が無い地域ですし。

でも四国には、中央構造線もあり、昔も慶長伊予地震もあった地域です。
伊方原発もあり、気をつけるべき地域であることは間違いありません。

今回の余震も含めて気をつけてください。
世の中には絶対はありません。

脅かすつもりではありませんが、東日本大震災の3日前には比較的大きな地震がありました。
2011年3月9日ブログ「地震お見舞い」
不吉なことを書いているのではなく、前向きなつもりです。

今回これで済んだこの機会に、是非皆さんで防災をチェックしてみましょう。

今回の震度を経験しても「強い地震はこの程度か」と安心しないでください。
地震は震度5強を超えてから桁違いになります。

防災には平常感じる「大袈裟くらいで少し足りない程度」だと思っています。

今晩、家族で被災のシミュレーションをしましょう。
 地震が起きたときの行動
   家にいるとき、学校にいるとき、運転しているとき、等々
 電話が通じないときの行動
 津波が来るという警報が出されたときの行動等々

防災用品の動作チェック(乾電池等も含む)と、水と食料の備蓄を確認しましょう。
期限前におやつで食べれば良いだけで無駄になるわけではないのですから、準備しましょう。
ちなみにトイレの水が意外と困るのですよ。
また常に服用が必要な薬が有る人は、少し在庫に余裕を持っておいた方が良いですよ。

私の2011年の3月~4月頃のブログをご覧戴ければ、被災地のニュアンスが少し伝わるかも知れませんので、もしよろしければご覧ください。

そして今回の地震の経験で、身の回りに反省点が有るか検証すべきです。
 家具で危ないものは無かったか。
 自分の寝ているところは安全か。
 寝ている廻りに絶対に必要なものとして置いておくべき物は無かったか。
   懐中電灯やラジオ、携帯電話、メガネ等々。

何も無ければ防災訓練になったと喜べば良いだけですから。



2014年3月12日水曜日

3.11

3年経ちました。

私は震災前から会長をやっていたはずですが、何をやっていたのか、過去を思い出しても、その記憶に現実感がありません。震災前のことはとても遠い昔のような気がします。
この3年にとても多くの出来事がありました。

震災は3年前のあの日の出来事ではないのです。
あの日から始まった出来事なのです。

今日現在、まだまだ仮設住宅にたくさんの方々が避難されていますし、まだまだ沿岸部は変わっていません。
その反面、仙台市内の繁華街だけ見ると完全に復興しているように見え、震災が有ったのかどうかさえ、忘れそうになります。

復興度合いの感覚は人それぞれです。
被災地全体がほぼ復興していたとしても、自分の土地が使えない状態なら復興しているとは思わないでしょう。
精神的な安定や経済的安定は、尚更人それぞれです。

「東北は復興しているのか」と聞かれたら、簡単に一言では答えられません。
「支援は必要か」と聞かれたら、どう答えれば良いか少し迷ってしまいます。

もちろん、私自身については援助を受ける必要性はまったく有りません。


だからと言って、私が震災について発言を遠慮したら、被災地の本当に困っている人達の現状も伝わらなくなります。

以前「鈴木は震災を売りにしている」と言われたことが有ります。
土地家屋調査士の立場から、被災体験を全国にお伝えしていることが、眼に付いたのでしょう。
逆にその方はそういう人なのかと残念に思います。

平気に見えても、被災地のすべての人間は、様々な何かを背負ってしまいました。
あまりにも身近な人達が、あまりにも身近な風景が失われたので、災害が圧倒的な現実感を持ってとても近く感じられました。
自分が生き残ったことが本当に偶然と思えるのです。あの震災がもう半日前後したら、生き残るのは彼らの方だったかも知れません。

3年経ちました。

この一週間だけは震災報道も多いでしょうが、東日本大震災は、そろそろ現実から離れ歴史の一部にされそうです。
全国が「絆」と「感謝」の2つのキーワードだけだったものに、複雑な感情が入り混じってくる頃です。
その中で、生かされた人間として、ぶれずに長い活動をしていきたいと思っています。








2014年3月11日火曜日

訃報ー仙南支部 安藤みち子 会員のご主人様

仙南支部の安藤みち子会員のご主人様で、
安藤清英会員のご尊父様が3月10日にご逝去されました。
葬儀等は下記のとおりです。
謹んでご冥福をお祈りいたします。


<通 夜>
日時:平成26年3月13日(木) 午後6時~
場所:「フローラメモリアルホール白石」
    宮城県白石市鷹巣西 2 丁目 9-34
    電話 0224-24-3322

<葬 儀>
日時:平成26年3月14日(金) 正午~
場所:「フローラメモリアルホール白石」
   宮城県白石市鷹巣西 2 丁目 9-34
   電話 0224-24-3322

<喪  主>
安藤 清英 様

2014年3月10日月曜日

小さくなる市場を奪い合うイメージではありません

何故、同業者にそこまで優しくできるのか。

新人にたまに聞かれる質問です。
新人の中には「廻りは全部商売敵」という殺伐とした感覚をお持ちの方もいるようですね(先輩の中にもいますが)。おそらく彼が今まで学んできた環境が、そのようなものだったのでしょうね。

あなたもそう思いますか。
私は補助者経験はないけれど、業界の先輩たちに様々なノウハウを教えてもらってきました。私も優しくしてもらってきましたよ。

本当に商売敵なら、私は頼まれもしないのに開業ガイダンスを企画したりして、自分の睡眠を削ってまで新人にノウハウを教えることはしませんよ。
あなたが本当にそう思うなら、逆にお尋ねします。
何故あなたは、私のガイダンスに参加するのでしょうか。
だって、あなたの思うとおりの業界だったら、私は将来の商売敵を潰すためにウソを教えるかも知れないでしょ。

自分が所属する業界が無くなっても自分だけ生き残る・・・それで本当にあなたは満足ですか。
自分が所属する業界が世間に頼りにされて、その中で自分も生きていく・・・その方が嬉しくありませんか。

あなたは他の土地家屋調査士と最低でも喧嘩はできませんよ。
我々土地家屋調査士が調査地の隣接者と立ち会うときに、隣接者にも土地家屋調査士が同行することがありますね。

また測量調査するときに、その土地や関連の土地を以前調査した土地家屋調査士に、質問やデータ提供をお願いしたいことがありますね。
(調査測量実施要領にもあるように、個人情報以外の地籍に関するデータは共有すべきなのです)

他にも、東日本大震災からの復興などの大きな現場や公嘱協会の仕事などは、土地家屋調査士が共同で作業することもありますね。

そんな中、他の土地家屋調査士と仲が悪いと、何かと困りますよ。おそらく土地家屋調査士の業界は、他の資格業界より同業者の世話になることも多いのです。

小さくなる市場を奪い合うイメージではありません。
皆で力を合わせれば市場は広がるんだ。そう思います。

自分の哲学を押しつける気はないです。
でも私が「新人研修はライフワーク」と言っている限り、私の思いを伝えて新人の皆さんに、もう一度考えてもらいたいとは思います。




2014年3月2日日曜日

中部及び東北ブロック新人研修会にて

一週間前に中部ブロック新人研修会の講師に、昨日東北ブロック新人研修会の講師に、連続で行ってきました。
私、1月の近畿ブロックと今回の中部ブロックと東北ブロックの3箇所の新人研修に10年以上お伺いしています。

土地家屋調査士の事務所を開業する際には、必ず土地家屋調査士会に入会しなければなりません。これを強制会と言います。
新人は自分の所属すべき会を、全国50会から選んでいる訳ではありません。
たまたま住んでいる都道府県の土地家屋調査士会に入会するのです。

本来強制会だからこそ、どの会に入会しても同じサービスを受けなければなりません。
たとえば研修会などは、同じ内容の同じ質の研修会を受けるべきです。
しかし、その会の研修会の企画ローテーションの都合や、その会の予算等様々な要因で、必ずしも各々の新人にフィットする研修会が毎年用意されている訳では有りません。

そこで全国の各ブロック協議会にたいして、最低でもこのテーマでこのレベルをこんな伝え方で、新人研修会を開催して欲しいという企画とテキストを、以前日調連が作り、その普及に努めました。その頃に私も日調連の研修担当理事として動いていたので、今の形態の新人研修が様々な議論で生まれたことを明確に記憶しています。

あれから15年ほど経っています。テキストは現在の法律改正等に対応しないものになってしまいましたが、新人研修会についての趣旨は残っています。毎年各ブロック協議会では研修スキルを磨いた講師たちが情熱的な研修をしています。

ただし、20年〜30年ほどの講師たちの経験と知識と情熱を、どんなに工夫して伝えても、各々2時間程度の持ち時間で伝えられることは「これからの行動と考え方のヒント」だけなのです。
ですから、どんなに良い研修を受けて、受講生が「為になった」と感じても、それだけでは何も生まれません。
それらの研修を受けて、次の日からどう行動するかが一番大事なのです。
今回のテキストも10年後読み返せば、また見方が違うはずです。

昨日は東北ブロック協議会で、受講生ひとりひとりに「修了証」をお渡ししました。
挨拶でも申し上げたのですが、新人研修は「終了」したのではなく、「開始のきっかけ」なのです。