2013年7月7日日曜日

世界から猫が消えたなら

「世界から猫が消えたなら」川村元気


ゴールデンウイークに買っておいた本ですが、先日の出張でやっと読みました。

郵便配達員の主人公が明日死ぬと伝えられ、悪魔にこの世から何かを消すことと引き替えに自分の寿命を一日延ばすことができる言われた話です。
さて何を消せば良いのだろうか。
世の中に必要の無いものは・・・。
チョコレート、電話、映画、時計、猫。
そして僕・・・。
それらは本当にこの世に必要なのか、それとも・・・

評判がとても良かった本です。
「哲学的内容をさらっと読ませて、涙が止まらない・・・」
まあそのようなポップがどうかという問題があります。

仙台〜東京の片道で読み終わりました。
文体が脱力系でさらっと読める本です。
死を通して今生きている世界を再確認する話なので、哲学的と言えばそうなんでしょう。私にはそこまででは無かったのです。
確かに泣けそうな部分もあるけれど、涙腺の弱くなったおじさんでも新幹線車内で涙を流さないで済みました。

今文学が軽くなっています。
ライトノベルというジャンルや、携帯小説の時代でもあります。
この本はとても読みやすく、やはりこれだけのサービス文体じゃないと、今は読者がついてこないのかも知れません。子どもから大人までを対象にした本になりますし。

でもサービスしすぎて、味わいを消してしまっているところが惜しいと思いました。
私がギリギリで涙を流さないで済んだ理由がこの辺りにもありそうです。
作者川村元気が映画プロデューサーであることが、作品をこんな感じにまとめさせたのかも知れません。

いや、良い本だと思いますよ。
このテーマを考えついて、それに沿って日常を掘り下げていったことがすごいと思います。内容はネタバレになりますので書きませんが、簡単な文体で深い話を考えさせると言うことは、とても難しくテクニックが要るところです。
(実は私の研修会もここを目指していますので、思い知らされています)

「結局この本を読むべきか?」
はい、買って読んでください。
大半の方は後悔しないでしょう。
私も後悔はしていません。
もし読んで合わなかったら、お子さんに渡してください。
夏休みの読書感想文にはもってこいの本だと思います。