2012年11月28日水曜日

土地家屋調査士試験合格者のための開業ガイダンス



土地家屋調査士試験合格者の皆さんおめでとうございます。昨日発表になっているはずですね。苦労が報われたと言うことで、昨日は祝杯をあげた方も多いと思います。
心からお祝い申し上げます。

ただし、皆さんの目標はここで完成するものでは無いはずです。
この資格は持っていても何の役にも立ちません。
企業内資格者としても認められないものです。
いずれ土地家屋調査士事務所の開業を意識することになります。
そのために今回もやります。

「試験合格者のための開業ガイダンス」

前回から始めましたが、受講者には好評でしたので、今年は東北ブロックの行事に昇格しました。

前回についてはこのブログで


東北の今年の合格者の皆さんには下記文章が間もなく届きます。
迷いのある方は是非ご参加ください。

合格者の皆さんが開業で迷ったときに、匿名のブログや巨大掲示板の匿名の書き込みを見ても、もっと迷うだけです。ネガティブな書き込みも多いようです。
私はいろいろな意見があることは否定しません。
でも皆さんは開業したくて試験を受けたのですよね。
それであれば、開業して胸を張って土地家屋調査士をしている人の話を、直に聞いた方が良いでしょう。

開業を支援します。ただし無理には誘いません。
開業する、しない、答えはどちらでも良いです。
ただ迷いをスッキリするお手伝いはできます。

昨年同様、開業資金、開業準備、事務所経営、その他質問には何でも答えましょう。
質問が無くなるまで帰らないつもりで、今回も対応しましょう。

基本的には今年の東北の合格者が優先ですが、何年前の合格者でも、他のブロックの方でも、土地家屋調査士試験に合格して、開業に何らかの迷いがある方は、ご連絡ください。
きっとお役に立つと思います。




平成241128
土地家屋調査士試験合格者の皆様

日本土地家屋調査士会連合会
東北ブロック協議会長

試験合格者のための開業ガイダンス開催について(お知らせ)

前略
 土地家屋調査士試験合格者の皆様、試験お疲れ様でした。
また合格おめでとうございます。
東北ブロックの土地家屋調査士会、各会長より心からお祝いを申し上げます。

 皆様は、これから土地家屋調査士事務所を開業するにあたって、様々な夢や悩みをお持ちと思います。また開業するのか、しないのかを迷っている方も多いのではないかと思います。
 そこで、私たち東北ブロック協議会として、皆様の迷いの解決について少しでもお役に立ち立ちたいと思い、下記のとおり事務所開業のガイダンスを企画しました。
 しばらくの間開業しないと決めている方や、東北以外に開業を計画している方でも結構です。遠慮無くご参加ください。
草々
日時:平成25年1月19日(土)14時~(質問が終わるまで)
場所:宮城県土地家屋調査士会会館
980-0802  宮城県仙台市青葉区二日町183
参加申込み、問い合わせ先:
宮城県土地家屋調査士会  電話022-225-3961 fax 022-213-8485
Eメール info@miyagi-chousashi.jp
以上
  合格してから仙台に集うのも格別な想いがあると思っています。
お気軽に参加していただければ幸いです。

2012年11月26日月曜日

矜持

先日、他の会の土地家屋調査士の方とお話をしました。

その人は、お客様の為に余計な手間を省いているとのことでした。
つまりお客様に言われたことだけを処理するために、法律や手続きに定めてあることまで屁理屈をつけて省略し、お客様の費用負担を避けようという趣旨らしいのです。

境界確認するときにできるだけ面倒な隣接者と立ち会わない方法を考えるようです。たとえば、売買の為に境界確認を依頼されたときに、その隣接者を避けて1m程度引っ込んで分筆をするそうです。面倒な隣接者と関わって数ヶ月過ぎるよりもお客様の為だとのこと。
そして分筆の際の全筆測量の原則を外す為の何とか言い訳したり、世界座標で測量しなければならないところを、近傍に三角点等がないと言い切って任意座標で測量したりするそうです。

その残された細い土地はどうするのでしょうか。問題を先送りどころか、売買にしても管理にしても、新たな問題を作った事になります。

それらが本当にお客様の為でしょうか。
土地家屋調査士本人がやりたくないから、または能力が無いから、お客様のせいにしているのではないでしょうか。自分だけの為でしょう。
なぜ法律は世界座標を要求するのか考えましょう。なぜ法律は分筆の際に全筆測量を要求するのか考えましょう。
また法律には無いけれど、なぜ土地境界を確認する際に隣接者の立会を必須とするのかも考えましょう。
それは地権者であるお客様の土地の取引や管理の安全を図るためです。
土地家屋調査士の目先の安易な売り上げのためではありません。

たとえば医者が、頭痛の患者に痛み止め薬だけ渡して精密検査をしないことを、お客様のために費用を軽減していると言うでしょうか。
まして土地家屋調査士の場合は、その精密検査が法律で義務づけられているのです。
土地家屋調査士の存在目的を再確認すべきです。

私たちのような資格者を士業(さむらいぎょう)と言います。
私たちが侍なら武士道を貫くべきです。




2012年11月23日金曜日

宮城青調会40周年記念式典

11月22日は宮城青調会の40周年記念式典が開催されました。
私も宮城会会長として来賓出席致しました。


宮城青調会 松岡会長

来賓といいながら、私は宮城青調会第23代会長であり、現在も宮城青調会の正会員です。
他の青調会では年齢制限があるので、私が青調会の正会員だと言うと、怪訝そうな顔をしますが、宮城青調会は現在年齢制限を取り外し、「趣旨に賛同する者」という条件になったので、私は堂々と正会員なのです。

現在全国で青調会(青年土地家屋調査士会)のような組織ができつつあります。
その中で宮城青調会の40周年の歴史は、全国でもとても古いものでしょう。

初代会長である髙橋眞先輩を中心に設立した頃のお話しをお聞きすると、様々なご苦労も有ったようです。その後、40年の歴史の中で、代々の会長をはじめとした役員が、時折々の工夫をして、青調会を40年間育ててきたのです。
とても素晴らしいことだと思っています。

全国の新人達が自分たちのための研修会を開いたり、親睦を図ったりすることで、救われる新人が多いのです。
個人経営だから商売敵では無いのです。個人経営だからこそ、仲間を作って動くことがどれだけ助けになるか、これはやってみなければ分からないかもしれません。
特に何も立場がない新人のうちに友人になった仲間は、とても頼りになります。

私自身この青調会がなければ、会長どころか、土地家屋調査士を辞めていたかも知れません。
新人の頃に青調会の先輩にはどれだけ助けられたか分かりません。

その思いがあるので、宮城の青調会という素晴らしい仕組みを他の会に紹介しています。
他の単位会では、この若い人達の集まりを、不穏分子の集まりと敬遠することが有るようです。
「それは違う」と役員に説明する役も、現在の私の役と思っています。
宮城会と宮城青調会の役割分担を見て戴ければ、本当に頼りになる組織だと思うのですが。

私はこの宮城青調会の趣旨に賛同していますから、土地家屋調査士を辞めるまで宮城青調会を退会しません。何歳でも正会員です。

そうか、私は正会員だから、再度宮城青調会の会長に立候補する権利があるんだ。
そうか、そうか。


アトラクションのフラダンス。この中に司法書士もいます。




2012年11月22日木曜日

フリクションボール・スリム 0.38 & カラーズ

久しぶりに文具ネタです。またフリクションです。
今まで私が取り上げたフリクションも数多く有ります。


振り返ると私もフリクション好きですね。
私の大切なペンにもフリクションの軸を壊してその芯を入れていた時期もあります。

そんな私にも黙ってパイロットは、知らないうちにラインナップをソッと増やしているようです。


この右側の2本が新製品「フリクションボール・スリム 0.38」です。
フリクションの細書きです。
やっとできましたね。
だって、インクの筆跡を消す事ができるのだから、手帳の予定表に使っている人がとても多いのです。だから細書きは当然求められていたのです。

おそらく今までは、三菱鉛筆のジェットストリームや、ぺんてるのビクーニャのスムーズなインクの流れに対抗する為に、フリクションはある程度の太さのペン先でスムーズさを保っていると感じていました。ですからこの「0.38」の登場は、やっとその開発が終わったのでしょう。

実際に書いてみると、インクのフローは十分で滑らかです。これは使えます。
ただし、このペンはとても細く、クリップがありません。ペンケースの中では、細い形状がかえって安定しないこともあるので、クリップが有っても良かったかと思います。
いや、文句ではありません。私は間違いなくこのペンを使います。

おまけとして、フリクション・カラーズという商品も見つけました。
先がフェルトペンです。
イラストなどを書くときに、私は前述の「フリクション・いろえんぴつ」を使っていました。とても書き味が良くて、24色のカラーバリエーションも有って、私は好きです。



上がフリクション・カラーズ、下がフリクション・いろえんぴつ


フリクション・カラーズのペン先はこんな感じです。
当然フェルトペンの書き味です。カラーバリエーションも12色です。これも良さそうです。

また私の所持筆記具の中のフリクション指数が上がってきました。
引き出しがフリクションだらけです。
それを見て「そんなに私の書いたものは消すべき内容なのか」としばし自問自答。






2012年11月21日水曜日

葉月の会 in福岡

18日、19日は福岡会で「葉月の会」が開催されました。

私が会長になってから4回目の葉月の会です。
2009年は高知、2010年は宮城、2011年は宮城、今年は福岡で開催です。
宮城で2回続けて開催されたのは、2010年は順番でしたが、2011年は被災地視察を兼ねて宮城でという事情でした。

葉月の会については以前のブログでもご紹介しましたが、宮城会で言えば亀山会長の頃に始まったものです。任意の7つの単位会のお付き合いで、何かを決定すべき会議と違い、情報交換と具体的会務運営の隘路を同じ立場で相談しあう会です。日調連の会長会議等の公式会議と違うからこそ、話題も多岐に渡り、一般論だけでなく具体的な事例にも踏み込んで議論ができます。

今回の会議もたくさんのテーマについて議論がなされました。
・今後の全国会長会議について
・会に対する苦情や相談への対応
・職務上請求用紙と本人通知制度について
・会費未納会員への対応、みなし退会規定適応について
・役員による事務所訪問(実態調査)について
・合同事務所の形態とその登録について
・支部とその助成金について
・土地家屋調査士の業務拡大について
・土地家屋調査士業務報酬額について
・国土調査法第19条5項について
・公嘱協会と法人会員の応札について
・研修会に出席しない会員に対する対応について
・ADR認定土地家屋調査士の活用について

議決を意識しないからできる、かなり踏み込んだフリートークだからこそ、その内容はお互いにすごく参考になるものでした。
毎年会議を持ち回りにするのも、開催地の若い理事がオブザーバーで参加しやすくなります。今回の福岡の若い理事の皆さん達の為にもとても良い勉強になったと思います。

参加した各単位会にこの成果は必ず生かされると思います。

葉月の会に限らずに、このように全国の土地家屋調査士全員がこのようなフリーでしかもお互いのために意見を言い合える環境がたくさん有れば、業界全体がとても良くなるという実感を得て帰りました。



2012年11月19日月曜日

土地家屋調査士試験合格予定者のみなさんへ

土地家屋調査士筆記試験を突破し、口述試験を受けた方々、来月発表ですが、なにも心配有りません。安心して日々を過ごして良いと思います。
常識人であれば、口述試験では落ちないはずです。
みなさんは間違いなく合格予定者です。

ただし勉強を止めてはいけません。
まだなにも解決していません。この試験はお稽古事の試験ではありません。プロの専門家の登竜門です。
みなさんは言わば就職試験に合格した程度、専門家として国民のみなさんの為に登記制度に携わるには、あの資格試験程度の勉強ではどうにもなりません。

お客様は分筆登記だけ建物表題登記だけで完結する仕事をお願いしているのではないのです。なぜ分筆するか。なぜ表題登記を依頼するか。その後の何らかの法律経済活動が有るからなのです。

添付書類や図面の書き方を知っているだけでは、まったくだめなのです。
不動産利活用の相談も受けるでしょう。建築相談も法律相談も税務相談も受けるでしょう。別に弁護士法違反や、税理士法違反などをしなさいと言っているのではないのです。みなさんに業務を依頼する地権者は結構勉強しているのです。その依頼者のレベルにも達していない人は、相談の価値がないと判断されてしまうはずです。

みなさんが受験で学んだのは登記手続きだけです。みなさんが補助者の時代に担当していたものも、大半は登記手続きの事務だけでしょう。
でも資格者としてお客様に会ったときには、もっと広範囲の質問を受けます。それに答えられないと、本来の土地家屋調査士の仕事にも結びつかないでしょう。この部分は皆さんが勤めていた事務所の土地家屋調査士が答えていたはずです。

これから勉強することはたくさんあります。
ですから勉強する癖は消さないでください。
この業界は実はとても単純です。勉強を重ねて説得力を持つと、つまらない営業をしなくても仕事は来ます。これは嘘ではありません。
勉強したくない人が、結果的に回り道の営業をしているのです。

おまえの言うことは分かった、でも開業資金と開業度胸が無いとおっしゃる方がいれば、遠慮なく宮城会に相談ください。
世間が言うほど開業資金はいらないと私は思っています。
そこは考え方でどうにでもなります。固定費はできる限り圧縮してください。詳細は説明します。
無理にだましてまで会員を増やす気はありませんから、ご安心ください。
よろしければ、ほとんど開業資金がなくて開業した宮城の新人も紹介しますよ。
もちろん、結果的に宮城会に入会しなくて良いですから、遠慮なく相談してください。

また昨年宮城で開催した合格者開業ガイダンスを、近々東北ブロック全体に広げて開催する予定です。
合格者には何らか連絡したいと思いますが、合格者全員に連絡できるか分かりませんので、このブログもたまに見てアンテナも張っていてください。



2012年11月17日土曜日

好きなら好きと言おう

ボジョレーヌーボーをありがたがるのは日本人だけだという台詞があります。本人はいかにも通ぶって格好が良いのでしょう。
でもボジョレーにも、全世界のファンがいるのですよ。
だから日本にも渡ってきたのです。

ボジョレー解禁日を待ってうんちくを語る人、「あんなのはワインに入れたくはない」と全面的にボジョレーを否定する人、どちらも本人にとっては格好が良いのでしょうね。
芸術もスポーツも何でもうんちくを語る人がいます。
私は、「最後は好きか嫌いかだけ」だと思うのですが。
たとえば「珈琲はこれじゃなければ」という人がいますね。
そこまで言うのはとても好きなのでしょうね。
でもね。もっと好きな人は全部受け入れて、全部好きと言うと思います。
好きは理屈じゃないのですよ。




さて、以前のブログでも書きましたが、また今年もボジョレー・ベガルタ仙台ラベルが発売になりました。ボジョレーもベガルタ仙台も理屈無く大好きな私は当然買いました。
今年のボジョレーもとても美味しいと思います。これは好きです。

ちなみに私、当然土地家屋調査士という職業も大好きです。
自分が土地家屋調査士でいながらぶつぶつ言う人は悲しいですね。
土地家屋調査士も好きなら好きと言いましょう。
好きな女の子に対して嫌いと言ってしまう小学生みたいなことは止めましょう。
自分が土地家屋調査士なのに、そんな事うそぶいていたら、とても格好悪いですよ。




2012年11月13日火曜日

人脈は頑張って増やすものではありません

「鈴木会長はたくさんの人脈が有りそうですが、どうやって人脈を作っているのですか」と聞かれたことが有ります。

よく人脈が有る人、無い人という言い方がありますね。
個人生活の問題だけでなく、特にビジネスでも人脈がものを言うことは否定しません。
だから様々な自己啓発セミナーでも人脈つくりのノウハウを教えています。
だから新人の皆さんも人脈を広げなければならないと強迫観念を持つようです。
セミナーのとおりやってできる人脈が有るとしたら、私はとても胡散臭いと思います。

実際に人脈を増やそうとして、パーティなどに出て、名刺を配りまくっている人がいます。そこで初対面の相手に一生懸命営業気味の話をする人がいます。
この程度でできるものは人脈とは言わないでしょう。
私の場合はパーティのような多人数の初対面に会う場合は、50人の名刺交換に奔走するよりも、3人から5人程度の人とじっくりお話しをした方が良いと思っています。
どちらにしても、実際に物欲しそうな名刺交換は相手も引いてしまいますから、結局人脈などはできません。

スポーツクラブやボランティア団体に参加して、一生懸命に名刺を配っている人をたまに見かけます。目的がおかしいので、かえって敬遠されていることを本人は気が付かないようです。
一時巷で流行った異業種交流会も、目的が人脈造りだったところは長続きしていないようです。そもそもテーマもない異業種交流会に何の意味が有ったのか分かりません。

皆さんの携帯電話の名簿には、おそらく1000人程度の人間が登録されているでしょう。でもその1000人が人脈と言えるかというと疑問でしょう。
人脈は増やすことばかり考える必要はないのです。
むしろ、太い人脈が10本有った方がはるかに人生が豊かになるかと思います。

人脈というとビジネスで、友人というとプライベートという感覚があるようですが、あまり区別するのもおかしいと思っています。
皆さんが人脈と言うときの言い方は、他人を利用しようというニュアンスが含まれているように思えます。
名刺交換して「何々をしてもらえそう」と言う人がいます。
あまり物欲しそうな言い方をしない方が良いと思います。
むしろ「何々をしてあげられる」というギブの気持ちが無いと、新しいお付き合いはできないと思います。
世の中のギブアンドテイクは、ギブを何度も重ねてやっとテイクが1つ返ってくるようなものだと考えるべきです。

そして新人の皆さん、人脈は手段ではなく、結果だと言うことにも気が付くべきです。
眼をギラつかせないで自然体で正直に生きていれば、本当の人脈は勝手にできると思いますよ。






2012年11月11日日曜日

議論と多数決について

小学生でも知っている「多数決」は、民主主義国家のあらゆる組織で採用されている機関決定の方法です。
ただし、多数決の決をとる前には、しっかりとした議論が必要です。会議で議論が出尽くして、お互いの主張の背景(なぜそのような主張が出て来たか)まで理解して、その上ではじめて多数決で決めるべきです。

多数決に至る前には、話し合いをしっかりして、お互いに物事に対する理解を同レベルにしておかないと、無知な多数が、不幸な答えを決めてしまうことがあります。多数決の方法を誤ると間違いが起こるという欠点もあります。

私はいつも宮城会の理事の皆さんに言っているのは、「会長の1票も理事の皆さんの1票も同じ1票です。だから大事にしてください。でも私も想いが有って会長になったのですから、皆さんを説得する努力をします。」ということです。
もちろん宮城会の理事会は、多数決をとるまでもないところまで話をしてから、確認の為に挙手をしてもらっています。

さて、ある組織では数人の考えだけで物事が決まっているという話を聞きます。「俺たちが何を言っても無理なんだ。」という話も聞きます。また組織的に機関決定もしていない重要事項が対外的に発表されることがあるということも聞きます。本当であれば情けない組織です。

その数人に関してはここでコメントはしません。
ただし、その数人以外の人たちは、会議中何をしているのでしょうか。その数人以外の人が皆その決定に不満なら、何故会議で意見を出さないのでしょうか。そんなに反対者が多いなら、少なくても多数決では勝つでしょう。相手が言っていることが分からなければ、分かるように説明を求める権利もあると思います。それでも意見が言えないなら、その人達は悪い組織の中の被害者ではなく、組織を悪くしている加害者なのかも知れません。

民主主義の中の会議とは何か、もう一度皆で確認しましょう。
以下「多数決」に関するwikipediaです。

ある集団の全ての構成員個々からの意見表明を元にして、その集団が採用する意思決定をするための手法である。一般的には単記非移譲式投票によって実施される。

より多くの人間が納得する結論を導き出すこと、特定の人物の決定に委ねないことから、民主制と深く関連したものであり、民主制の中では手続き的妥当性から採用されている事が多いが、論理的には必ずしも民主制において必須な物ではなく、全員が納得するまで議論し続ける形の民主制もあり得る。また、どんな二人の人を選びだしても、十分細部まで比較すれば、同一の意思を共有することはない。従って多数決には、個々の意志の互譲や切り捨てが必ず伴う。単純な多数決は衆愚政治へとつながる危険性をはらんでいる。多数決はつねに少数意見の無視をともなう「多数派による専制」(トクヴィル)の側面があり「最大多数の最大幸福」(功利主義)がもたらす倫理上の負の側面をつねにはらむ。

多数決の正当性について、多数が必ずしも客観的に真実であり妥当なものを捉えられるものではない、とする批判がある一方で、少数説との比較において多くが相対的に良いと判断するものを選ぶことに最低限の正当性を認める発想がある。

日本においては、寺院などでも、多数決によって賛否を決める方法は古くからおこなわれていた。ただし、単純過半数で議論を決する事はほとんどなく、目に見える程度の差が生じなければその案が採用される事はなかったという(「多分の理・多分の評定」)。




2012年11月9日金曜日

東京会足立支部の皆様、被災地視察


東京会足立支部の安達一之支部長他18名の皆さんが、被災地の視察旅行ということで、本日宮城県にいらっしゃいました。明日は岩手県に入るとのことでした。

本日午後に宮城県土地家屋調査士会の会館に立ち寄っていただきましたので、お礼を兼ねて、宮城会からは震災時の写真をお見せしながら、その後の土地家屋調査士の動きを説明させていただきました。
その際に足立支部の皆様からは多額のお見舞い金を戴きました。心から感謝します。できるだけ有効な使い道を考えさせていただきます。
本日は私個人は、以前から決まっていた京都会研修会の講師をするために、仙台を留守にしておりましたので、大変恐縮しておりました。

足立支部の皆さんは今までも個人的にもボランティア等で宮城県に入ってくださっていたようです。私はそのことを知りませんでしたが、とてもありがたいことです。

また今回のように19名の皆さんが被災地に関心を持ち続けて、1年8ヶ月過ぎてからも来てくださったことに改めて感謝しました。

私が全国で震災のお話しをしているのは、このような全国の仲間からのご支援に対するお礼のつもりです。明日も京都で震災の話をします。京都会の皆様も関心を持ち続けてくださっています。
京都の皆様の危機管理の何らかのお役に立てれば良いと考えています。
また全国の皆様には12月15日の震災報告会でお役に立ちたいと思います。
よろしくお願いいたします。





2012年11月8日木曜日

調整役に思う

世の中には、調整役という役割があります。

ある組織やコミュニティで意見がまとまらなくなり膠着状態になりそうなときに、それぞれの利害関係者の意見や事情を理解し、その間に入り調整し、再度議論を進める大事な役だと思っています。
表立った争いを好まない日本の文化には、特に必要な役なのでしょう。

たとえば、調整役は議論でも勝ち負けを作らないで物事をまとめる役ですから、ある意味我々のADRと同じ機能であると理解しています。

ですからこの調整役を全うする為には、調整すべき複数の対立者の立場や意見をすべて理解して、調整を始めないと無理だと思っています。

調整役の一番の能力は、ADRと同じで、その人の意見がどんな背景から出ているのか、そこまで理解する能力を要求されます。
誰も自分の意見を理解できていない人から調整されるつもりは無いからです。

ですから、すべての個人的な意見や立場を理解する能力が、調整役の最低の能力です。
その後、各対立者に得心させる能力も必要です。ここもADRの能力に近いものでしょう。

日本の自称調整役にはこれらの能力を有しない人が多く、とても残念です。
むしろしっかりした自分の意見が無い人が、自分の居場所を相談役という無難な?役に求めるようにも見えます。
逆に自己顕示欲の高い、ある意味自分が主役になりたい人が調整役を始めると、それは調整ではなく、結局自分の立場を押し付けることになります。
どちらにしてもそんな人たちが動くと、結局調整できないか、一時的に調整できたように見えて、後から覆されることが多いですね。
しっかりした理論としっかりした人間力を持った調整役が欲しいものです。

被災地のコミュニティには本当の調整役が各地にいます。勉強になりますよ。

余談ですが、私は各種会議においては、安易に調整役が出てはいけないと思っています。
会議は意見を述べ合う場です。
ろくに議論もしないうちに調整を始める人がいる組織には違和感を持ちます。
もっともその前に、調整役が欲しくなる程しっかりした議論を闘わす構成員も必要ですが。





2012年11月6日火曜日

CREATOR'S DIARY

私は文具ヲタクであるし、中でも手帳ヲタクであることは、何度も書いています。(まだ見ぬ明日)

その手帳には様々な役割があります。

スケジュール
プラン
ダイアリー
メモ
アドレス
etc.

それぞれの役割を1つの手帳で済ますか、複数の手帳に分散するか、それにデジタルを併用するか、等々、皆さん工夫しているでしょう。
私は基本的にデジタルはバックアップとして利用しながら、メインはやはり複数の紙の手帳です。それらの詳細は別の機会に書きましょう。

さて、実際にデジタルの方が得意な分野と、紙の手帳の方が得意な分野があります。
紙の方が得意な分野としてプランニングが挙げられるでしょう。
「あの予定は何日だっけ?」というピンポイントの検索は絶対にデジタルの方が強いです。この用途では、私はgoogle calendarを使っています。

でも以前も書いたように予定表の一番重要な部分は、予定の空白部分の把握です。
否応無しに入れられた予定よりも、その予定と予定の間の空白の期間に何をするかがとても重要です。
この部分はデジタルでは感覚として把握しづらいのです。
また月刊予定表のブロック表示は分かりやすいのですが、ページをめくった翌月1日に需要な予定が入っているときの感覚が掴み難いことがあります。

また来月の10日に何かイベントがあるとした場合、10日の位置に予定を書いただけでは物事は進みません。その日はゴールであって、その日に向かって準備するというプランニングがとても重要です。例えば5日前までにこれをして、3日前までにこれをするなどの計画が大切です。ですから、その日までの日程(距離感)の把握が必要です。

そこで、私がそのようなプランニングの為だけに数年前から使っているのが、CREATOR'S DIARYという手帳です。



このダイアリーの中身は下記のとおりです。
写真で見づらいでしょうね。写真をクリックして拡大してみてください。


上半分がバーチカル型の予定表です。
1ページ1週間の表示で、この写真の見開きでは2週間を表します。
ちなみに1ページは幅125mm × 高さ220mmのサイズです。
バーチカル型は、やっと最近流行ってきましたが、時間の空いている部分が視覚的に把握しやすいので、私は昔から便利だと思っています。
そして下半分がプロジェクト別プランニングができる表になっています。
これは汎用性があるので、ユーザーによって様々な使い方が期待できるでしょう。

さてこのダイアリーの一番の売りは、下記写真を見てください。



そうです。各ページが7m以上の一枚の紙で繋がってて、それがジャバラ折で畳んでいるだけです。365日+αが一覧できるのです。(12.5mm*52weeks+6pages=7250mm)
暦に関係ないプロジェクトのプランニングにはこのダイアリーに書き込むことで、予定と予定の間(距離感)など全体が把握しやすくなります。

2013年版では、あの「超」整理手帳でも同様なもの(ロング)を発売したようです。
あちらはA4判を四つ折にしていますので、他の資料とサイズ的な互換性がありお勧めです。
私は最初に始めたCREATORE'S DIARYに敬意を表して、今年も買いました。



2012年11月5日月曜日

009 RE:CYBORG

私の初恋の人は003フランソワーズでした。
(それ以来私はヘアバンドに弱いのです)


009オフィシャルサイトから


ということで、子供の頃漫画で一番好きだったのは、当然「サーボーグ009」でした。

その009の新作映画が出ました。
攻殻機動隊の神山監督によるものです。
大好きだったサイボーグ達のキャラクターデザインがまったく別人に変わったことに納得できず、「絶対に見たくない」という気持ちと、「でも、私が009の新作を見ない訳にはいかないでしょ」という気持ちが錯綜しました。(3分だけ)
で、結局いつものレイトショーで見に行きました。

かつて、世界が危機に陥るたびに、人々を救った 9人のサイボーグ戦士がいた。
その役目を終え、各々の故国へと帰っていたゼロゼロナンバーサイボーグ達は、生みの親であるギルモア博士からの呼びかけによって、再び集結しようとしていた。
一方、ゼロゼロナンバーサイボーグのリーダーである日本人、009こと島村ジョーは、過去の記憶を消し、東京・六本木でひとり、暮らしていた。
サイボーグ戦士最後の切り札であるジョーは、ギルモア博士によって 30年間、3年に一度、記憶を リセット され、高校3年間を繰り返していたのだ。


あれからジョーは、高校生を長年に渡って繰り返していたのですね。
私はジョーやフランソワーズに小学生のときから憧れて、中学生、そして高校大学を経て、いつもまにか大人になっていたのに、ジョーはまだ高校生のままだったのですね。




今度の映画は、その昔からのファンと、これからの新しいファンとの、どちらにも受け入れられるものを作ろうとしたのでしょう。実際に映画館に行ってみると、確かにそのどちらの世代も入っていました。

私たち昔からのファンには、旧作へのオマージュが散りばめられていて、懐かしいシーンもありました。最後の月の裏のシーンも009の世界ですね。
成層圏からジェットとジョーが流れ星になるシーンは、往年の名シーンへのリスペクトですし、子供の頃に涙ぐんだシーンでした。
しかし、そんなサービスシーンに喜びながらも、私には違和感が一杯でした。
この違和感は何なのでしょうか。

映画自体は品の良くスピード感のある3Dアニメです。音楽も良かったと思います。
私の違和感は、少なくてもキャラクターデザインではないはずです。それは既に覚悟し、織り込み済みだし。

では何か。今度の映画のストーリーは、以前の009の世界観に思い入れがあり、且つ自分が大人になっていないと意味が分からないかもしれません。もう1つ、この作品に愛情があり、細かいところに突っ込まない寛容な心が必要と思います。そして私は良くも悪くもその大人になっていたようです。

でもそれ以外の人たちに、この映画はどう見えるでしょうか。
説明には時間が足りません。
少なくてもこの映画、キャラクターだけでも001から009それにギルモア博士の10人は各々見せ場を書かなければならないでしょう。それぞれの特殊能力を発揮しないと、各キャラクターの存在価値も理解できないでしょう。ピュンマに至っては、まったく特殊能力を発揮する場面がありませんでした。もしかしたら、ジョーの活躍が、あの加速装置によるものであることさえ、伝わっていないかも知れません。

ストーリーはどうでしょうか。
今回の映画は、石ノ森章太郎の未完のテーマ「天使編」「神々との闘い編」を扱っています。石ノ森章太郎の遺稿ノートを検証して、今回のエピソードをまとめたとのことでしたが、テーマが大きいので、実際にはまとめ切れていません。
2時間弱の映画で複雑な伏線を入れて、その内いくつかは回収できていません。
続編を作るつもりでも、あの終わり方をしてしまったら、伏線の必然性はあるのでしょうか。
私の気持ちは、初めて見た人たちに009を嫌いになって欲しくないという思いなのかも知れません。

いいんですよ。私は。
寛容な大人になっているのですから。
顔は違っていても、彼らは確かにゼロゼロナンバーのサイボーグ戦士達でしたし。
ダニエル・クレイグのジェームス・ボンドを見たような感覚ですが。
違和感はあるけれど、続編が出たらまた見に行くのでしょうね。

でも、ただ1つだけ言わせてください。
セクシーな003フランソワーズは見たくない。



映画オフィシャルサイトから

2012年11月3日土曜日

諸君はきのうの専門家かもしれん。

「諸君はきのうの専門家かもしれん。しかしあすの専門家ではない」

日露戦争の旅順攻撃を前にして、乃木希典大将が率いる第三軍を仕切っていた参謀長伊地知幸介に対して児玉源太郎が言った言葉です。
大本営からの作戦変更に対して乃木軍はすべて断ってきました。
この判断は、伊地知をはじめとする当時の専門家の中途半端な専門知識によるものでした。判断に一番必要な情報が誤っているのです。

「豊島も伊地知も、じつは専門家はどの専門知識ももっていなかった。・・(略)・・かれらは一知半解の知識で、対面だけは傲然として専門家の態度を東京の「しろうと」に対してとってみせたのである。」(坂の上の雲から)

伊地知は参謀として評判が良かった訳では無さそうです。それなのに選ばれたのは、「司令官を長州がとった以上、参謀長は薩摩にせねば・・・」という選ばれ方だったらしいのです。まあ、中途半端でも素人をごまかす程度ならできるでしょう。
それにしても当時、日本全国のための人選のはずなのに、現代の某政府、某連合会の人選のような話が有ったようです。

中途半端な専門家が一番始末に負えません。
むしろ中途半端な知識があるから、かえって柔軟な思考ができません。
実力が不足しているのは、おそらく本人が一番知っているのでしょう。
でもその実力のまま立場を持つと、変なプライドだけ出てきて、そこをごまかそうとします。

専門家と名乗るなら、常に謙虚に、常に未来を見据え、常に最新の知識を求めていなければなりません。
専門家個人としても、「自分は明日の専門家ではない」という謙虚さを持って、日々研鑽していなければ、専門家の看板を下ろして欲しいと思います。
まして「きのうの専門家」だけが統括する組織なら、国民に何の役にも立たない組織になります。





2012年11月1日木曜日

奇跡の災害ボランティア「石巻モデル」

阪神淡路大震災の年が、ボランティア元年と言われることがあります。
大勢の若者を中心に日本中から大勢集まり、世間にそのボランティアという存在を知らしめた年でもあります。
甚大な被害の大震災を背景に「ヒューマニズム」だけがクローズアップされた存在ですが、この「善意による」「無報酬の」「社会貢献」は、とても曖昧なもので、「自発的」だからこそ組織行動が難しく、飲酒して騒ぐ迷惑なボランティアという新たな問題も起こったのです。阪神淡路大震災において、災害ボランティア活動はきれい事だけでは済まないことを、全国の人は、知ってしまいました。
今回の東日本大震災でも、被災地では全国から集まるボランティア志願者について不安視する向きも有ったようですし、被災地の各自治体もボランティア受け入れには実際消極的だったようです。

奇跡の災害ボランティア『石巻モデル」中原一歩 朝日新書



この本を読みました。
被災後半年間だけで、石巻に集まったおよそ100団体、のべ68万6800万人が混乱無く組織され、ボランティア活動の奇跡的成功例を紹介しています。

全国から集まったボランティアは組織されている訳ではありません。被災地に来て始めて組織されるのです。そのボランティアの個人、グループにしても、思想信条、またやれることが皆違うので、組織化することはとても難しいのです。
また大勢の人が集まるだけで、その人達の生活が新たな問題になるのです。食事とトイレ、生活規範など様々な二次的な問題が発生します。

石巻だけで震災後6ヶ月間でのべ10万人のボランティアが来ています。その石巻で、社会福祉協議会、ボランティア、地元企業、支援企業、自衛隊までが奇跡的に連携できたのです。そしてそれには受け皿としての石巻専修大学が拠点となったことがとても大きいできごとでした。大学のキャンパスの一角にテント村ができました。

石巻専修大学の一室で毎夜繰り返される「石巻災害復興支援協議会」が奇跡的な連携活動の中心となりました。

筆者中原一歩氏は、佐賀県のノンフィクションライターですが、石巻に腰を下ろし丁寧に取材しています。様々な出来事とその決定過程がよく書けていると思います。

NPO、NGO、ボランティア個人、行政、地元のキーマン、あらゆる立場の人の視線で、とても具体的に書かれています。

起きては欲しくないけれど、今後も何か起きる可能性が有ります。その観点では日本列島安全なところは無いと言えます。

だからこそ、この本の提言はとても重要だと思います。
すべての方に是非読んで欲しいと思います。