2012年8月24日金曜日

気仙沼線BRT開通に思う

全国の皆さんはBRTの問題はご存知ですか。
ここのところ報道されているので「BRTは知っているよ」という人も増えたと思います。
BRTは Bus Rapid Trasit の略です。

今回の東日本大震災で破壊された鉄道路線の線路や枕木を外して道路として整備し、そこにバスを走らせる構想です。BRTは鉄道をつくる費用の10分の1程度で済むようです。
整備されるのが専用道路ですので、他の車は通ることができません。その分、他のバスという手段と違って渋滞が無く、走ることができるというものです。

気仙沼線は8月20日にBRTに変わって開通されました。
と言っても、実際に専用道が整備できたのは55.3kmのうち1区間2.1kmのみでした。
その他の部分は一般道を走ります。ですからBRTは、初日から早速渋滞に巻き込まれ、遅れたようです。

今回の被災に遭った海辺の路線はもともと赤字路線です。気仙沼線、大船渡線、山田線などです。これらは、国鉄からJRへの移行の際にも、赤字を理由に廃止が議論された路線
です。
この赤字路線に東日本大震災の大津波が襲いかかりました。その模様は全国の皆さんもご存知と思います。
そして、もうすぐ一年と半年が過ぎようとした今、鉄道ではなく、BRTとのことです。その復旧に関してJR側は「BRTはあくまでも暫定で、将来鉄道を復旧させる。」と説明しています。
しかし、本当に鉄道を復旧させる気持ちがあるのでしょうか。
被害の少ない部分の線路も剥がしてまでBRTを開通させるとすると、鉄道を復旧させることは大変難しくなります。
大震災が、赤字路線を減らす丁度良い口実に使われているように感じるのは考え過ぎでしょうか。

気仙沼市の菅原市長は以下の発言をしています。
「気仙沼から陸前矢作(陸前高田市)間は被災程度が小さく、鉄路での復旧は難しくないはずだ。あえて、線路を撤去して専用道を造る必要はない」


鉄道はJRという一企業の為に有るのではありません。国民全員の為に有るです。そして鉄道は国民全員の財産です。赤字だから廃止などと簡単にされては困るのです。

地元の人間も複雑です。
この一年半程度の中に、鉄道が使えないで大変苦労したので、BRTでも何でも早く開通すれば助かると思う人。一度BRTを認めたら二度と鉄道は通らなくなるから反対と言う人。
どちらも本当の気持ちでしょう。

そしてJRや為政者は、これらの発言の中から都合の良い部分を選び、「被災地からの要請だから・・・」と言ってBRTを進めたのです。
BRT賛成者であっても、あくまでも「暫定だから」という説明の中で納得してきただけなのに。

これは今回の問題だけではありません。
政治が言う「地元の要望」「世論の後押し」というのはこの程度のことなのです。

そして過疎地は切り捨てられるのです。