2012年6月28日木曜日

塩竃で震災対策地図修正作業開始

東日本大震災により広域的な地殻変動が起きました。
宮城県では、水平移動で東南東方向へ最大5.85m、垂直移動で下方に1.14m沈降しました。
これらの動きを、等距離・等方向への単なる水平移動と考えて、元々の座標だけを変換すれば良い地域も確かにありますが、もっと複雑に移動してしまった地域もあります。
地図を単なる座標のパラメータ変換で終わらせておくと境界に関する民事上の問題も発生しかねないと、震災直後から機会がある度に、以下のことを発信してきたところです。
これは実際に現地を見ないと、問題の深さが分からないかもしれません。

法務省・仙台法務局との 意見交換会

東日本大震災復興支援における地図実態調査の打合せ

提言「14条1項地図の位置づけの変更」

法務局でもこの問題に対応するために、今回災害対策の一環として「地図修正作業」が開始されることになりました。
今回、塩竃支部会員を中心に作業担当される皆さんには、大変ご苦労をお掛けします。日常でも各々、公私ともに震災対応が有り、その上での更なる作業になりますが、これは土地家屋調査士しかできない地域復興業務だと理解していただき、よろしくお願いいたします。

私たち宮城県土地家屋調査士会としても全面的にバックアップしたいと考えています。地域のためにも皆で頑張りましょう。

さて、昨日は現地事務所の開所式が開催され、三浦副会長も出席しました。
河北新報にも以下の記事で紹介されていました。

2012年06月28日木曜日
土地境界線、震災地殻変動でずれ 登記所地図修正に着手

 仙台法務局は東日本大震災に伴う地殻変動で、土地の境界線が移動するなどの問題に対応するため、登記所備え付け地図の修正作業に着手する。震災後初の対象地区として塩釜市藤倉1丁目、同2丁目を選定し27日、現地事務所の開所式が開かれた。
 登記所備え付け地図は国家基準点を基礎として測量した精度の高い地図で、土地の位置や区画を登記記録と一体となって特定する。塩釜市の藤倉地区では震災後の地殻変動で土地の境界などに不規則なずれが生じており、同市が法務局に地図の修正を要請していた。
 法務局によると、藤倉地区全体で東南東方向へ3.7メートル移動し、個々の土地の境界では事前調査で20~30センチのずれが生じた箇所が確認されている。
 作業の実施期間は来年3月末まで。住民説明会を行った後、土地家屋調査士が土地所有者立ち会いのもとで現地調査し、細部の測量を実施する。
 同市海岸通の現地事務所開所式で、法務局の高村一之民事行政部長は「土地境界などのずれが震災からの復興の妨げとなる懸念があった。修正作業で復旧に貢献したい」とあいさつ。出席した藤倉地区の町内会関係者らに作業への協力を呼び掛けた。
 現地事務所は12月末まで開設し、土地所有者の相談などに応じる。法務局は「精度の高い地図に作り直すことで、境界に関する争いを未然に防ぐことができる」としており、塩釜市を皮切りに県内各地で修正作業を実施していく方針だ。