2011年12月28日水曜日

想定外から想定内へ

地震予知はできるのかという議論が昔からあります。今回の東日本大震災の前にそれなりの警告が無かったことを考えると、確かに予知は難しいのでしょう。

では地震科学は何もできないのでしょうか。
予知ができなくても、想定はできます。
想定ができていれば、事前に心構えができて、対策ができます。
少なくても「想定外」ということにはなりません。
これがとても大切だと思うのです。


東日本大震災の際には、政府も学者も東電も「想定外」という言葉を使ってました。
想定外という言葉を使っている分には、自分たちの責任が免れるとでも言うようにです。
ですから想定できることが大切です。


私が最近の研修会で一番お伝えしたいことは、
「皆、心の中では、嫌な事は自分には起こらないと思っている」ということです。
理性では理解しているつもりでも、皆、実感を持っていないのです。
これが防災で一番悪い事です。本気にならないからです。
今回の原発事故対策で、すべて後手に回った事も、本気の対策をしていなかったからでしょう。


そんな中、本日27日に内閣府の検討会が、中間報告を出しました。
それによると、東海・東南海・南海の地震が連動したときの想定震源域を従来の想定の2倍に、地震の規模をマグニチュードを9.0に、引き上げました。
マグニチュード9.0は、東日本大震災が無ければ、絶対に今回の想定に入らなかったでしょう。


また、今まで震災が起こらないと考えられていた愛媛、香川や奈良、長野まで入っています。これは全国の皆さんが不安になるような報告です。
でも、リスクは多めに想定して丁度良いのです。
多めに発表しても、どうせ受け取る方は甘く受け取るはずですから。


対策は「起こるかもしれない」ではなく、「必ず起こる」という前提でないと、本当に役に立ちません。
政府も自治体も、土地家屋調査士会を含む各組織も、家庭も、個人も、日本列島に住むすべての人が、本気で対策を考えなければなりません。



東海・東南海・南海3連動地震 想定震源域2倍に 内閣府中間報告
拡大写真
(写真:産経新聞)