2011年5月25日水曜日

謎解きはディナーのあとで

仙台市内もまだ普及工事中の建物が多く、完全に問題ない訳では有りません。
私の事務所の入っているマンションも現在周辺は足場が組まれ、全部シートで覆われています。
私の楽しみの一つである映画鑑賞で、深夜に通っていた映画館である109シネマズやMOVIXもまだ再会の目処が無いようです。ということで、しばらく映画館に行ってません。

映画館に行けない時は読書が多くなるはずですが、震災以降、なかなか本を読む余裕がなく、読書量も極端に落ちました。
そんな時は「軽いミステリーの短編集」がお勧めというのが、私の経験則です。
細切れの短い時間で読み終わり、しかも知的興奮が有るという便利な読み物です。

そこで連休中に選んだのが、「謎解きはディナーのあとで」東川 篤哉(著)です。
この本は、今年の本屋大賞です。
過去、本屋大賞の本は何冊か読みましたが、まあまあそこそこの面白さが有ったから、期待して購入しました。

「失礼ながら、お嬢様の目は節穴でございますか?」令嬢刑事と毒舌執事が難事件に挑戦。ユーモアたっぷりの本格ミステリ。


まあ、この毒舌執事という設定が面白そうで、気晴らしにも良いかと思い、読んでみました。
読んでみて、ちょっと私には合いませんでした。
本当に本屋の皆さんがこの本がナンバーワンだと感じたのでしょうか。
私にはミステリーとしてもコメディとしても、中途半端に思えました。

まあ私の感性がおかしくなっているのかもしれません。
自分も含めて、私たちの業界は「毒舌」に慣れすぎていますし・・。

現代は、このくらいの軽いものがむしろ好まれるのでしょうか。
もしかしたら、最近のテレビドラマのミステリーの原作を狙っているのかもしれません。
そんな時代なのかもしれません。この本だけではなく、キャラ設定にだけ命を賭けているような、話が多くなりました。
でもそのキャラに思い入れができないのです。

古き良き時代のシャーロック・ホームズをこよなく愛する私的には、昔は質の良い短編ミステリーが有ったと思います。
昔もそれなりのキャラが立っている人物も多く、各々魅力的であったはずです。
悪役でさえ憧れられる格好の良さがあり、主人公に至っては、私に「大きくなったら探偵になる。」と言わせたキャラクターがたくさんいました。

さて、ミステリーには、意外な人物が謎を解いてしまうという設定も、昔から有りますね。
たとえば、アイザック・アシモフの「黒後家蜘蛛の会」シリーズなどは、いかがでしょうか。
権威ある有識者7人が食事をしながら謎解きの議論をしますが、結局いつも、そこにいる給仕があっさりと謎を解決してしまうという設定です。結構楽しめます。