2011年5月31日火曜日

荒浜被災地現地視察

震災から2か月半、現地はまだまだ落ち着いていません。

5月27日に法務省と仙台法務局の担当者が、仙台市の荒浜地区の被災状況を現地視察されるのに、同行致しました。
以下に5月27日現在の写真を掲載します。
携帯電話のカメラで撮って、補正作業無しに載せたので、暗くて見づらい写真で失礼します。


現地は、道路上のがれきを撤去し、通行を確保し、次に倒壊してがれきになった建物、若しくは建物として利用不可能な建物を撤去する作業が続いていました。


現地は比較的新しい住宅地です。残念ながらほぼすべての建物が使えない状態になっていました。
がれきが続いています。


がれき等の産業廃棄物は、3月11日の一日だけで、宮城県が一年で処理する産業廃棄物の量の26年分が出たそうです。1年で仮置き場に移動させ、その後の2年程度で産廃処理したいと宮城県は言っていますが、全国の協力無しにはできない事でしょう。


基礎は残っていますが、建物がすべて流されました。街区は残っていますが、道路幅員が変わっているようです。
地図や筆界を考える基礎として「地殻の水平移動とする処理」だけで考えるのは大変危険だと実感しています。


建物の形は残っていますが、2階まで浸水しました。1階が完全に破壊されています。
ここの住民の皆さんは、おそらく2階まで海水が来るとは思っていなかったでしょう。


「がれきとして撤去してください」との意思表示のメッセージを玄関に貼っています。どのような思いでこのメッセージを書き、どのような思いでマイホームに貼ったのでしょうか。


写真中央の建物は建築中でした。この段階ですべて壊されました。
「引き渡し前だから工事業者の負担等だね」等の話をする事も不謹慎に思える程の、すべての関係者にとっての悲劇がここにあります。


2011年5月30日月曜日

正副会長会議〜三人の副会長

5月26日午後は正副会長会議を開催しました。
先日の総会で選んでいただいたとおり、副会長は三浦幸治さん(塩竈支部)、千葉三郎さん(登米支部)、菅澤賢一さん(仙台支部)の三人です。

三浦幸治さんは、皆さんがご存知のとおり、長年総務畑で頑張ってくれている方です。
歴代の(私も含めて)癖の有るすべての会長が、「この人は必要だ」と考える貴重な役員です。
土地家屋調査士会は総務が要です。
私が2年前に会長に立候補した時に、岩手会の菅原会長に戴いたアドバイスは「総務担当副会長は心から信頼できる人を配置すべきです。」というものでした。
そこで、私は迷わず三浦さんに副会長をお願いしました。
総務というポジションは、会員の皆さんから見ると地味な部門ですが、実は非常に大切な部門です。三浦さんは、誰も嫌がる対外的な問題にも、長い間対応してくれています。
誰からの悪口も聞いた事が無い三浦さんだからこそ、できる事かもしれないと感謝しています。

千葉三郎さんは、長年宮城会の会計を担当してくれていた方です。
私は、千葉さんと前からお付き合いしていて「この人は、会計だけをやりたい人ではないはず。」と思っていました。
そこで2年前、筆界特定とADRを担当してくれないかと打診してみたところ、この2つの裁判外の境界紛争解決制度担当の副会長として手伝ってくれる事になりました。もちろん、財務担当も兼務してもらっています。
千葉さんの情熱はお付き合いしていて火傷しそうに熱いものです。
毎日、沢山の人に電話をしています。いつも熱い意見を語るのです。この2年間、私は自分の奥さんより、千葉さんと話している時間が長いかもしれません。
千葉事務所の通信費が少し心配ですが(笑)。
千葉さんの情熱のお陰でADRも認証を戴く事ができました

菅澤賢一さんは、今回新たに副会長に入っていただいた方です。
菅澤さんとの役員としてのお付き合いはこの2年間ぐらいの短いものでした。
最初は分からなかったのですが、付き合えば付き合う程、バランスの取れた凄い人である事が分かりました。よく見ていると周りの人から厚い信頼を得ている事も理解できました。
3月11日の震災後にいち早く対策本部に駆けつけ、本部で中心的な活躍をした事は皆さんに是非お伝えしたいと思います。

この三人の副会長と、新しい1期2年に向けて、じっくりと忌憚ない話し合いができ、お互いに方針を確認しました。私は良い仲間に恵まれました。

2011年5月27日金曜日

宮城県土地家屋調査士政治連盟定時大会

5月26日午前に宮城県土地家屋調査士政治連盟の総会が開催されました。
私は来賓としてお招きいただきました。

この震災が起こった今、復興のためには政治判断がとても重要です。今日の政治判断が、今後の東北の生死若しくは日本の生死もかかっていることを、私たち国民はもっともっと自覚しなければなりません。
ですから、土地家屋調査士としても、専門家として、政治家に提言を続けなければなりません。
いまこそ、政治活動が重要と考えています。

以下は私の会長としての来賓あいさつです。
私はこのようなことを考えています。


祝辞

  本日、宮城県土地家屋調査士政治連盟の平成23年度定時大会が開催されましたことを心からお喜び申しあげます。

 日頃は、宮城県土地家屋調査士会に対しご支援・ご協力を頂き、誠にありがとうございます。この場をお借りして厚く御礼申しあげます。

 3月11日の東日本大震災において、宮城県も甚大な被害がもたらされました。被害に遭われた皆様には心からお悔みとお見舞いを申し上げます。
その大災害の中で、会員の皆様全員が無事だったことが、不幸中の幸いでした。

これから東北は復興しなければなりません。土地家屋調査士も自らが持つ専門性で地域社会の復興に寄与しなければなりません。

現在復興のための第一次補正予算が通りましたが、第2次補正予算がいつになるのか、まだ政争の具にされている状況です。
被災地域である東北や、そこで生活している専門家が提言しなければ、本来の復興は難しいと考えます。
たとえば、14条地図の処理の件です。国は基準点測量だけして、あとはパラメータ変換という机上作業で終わらせたいという方針です。
そんなことをしたら、地域の将来にどれだけの禍根を残すのか、目に見えています。その目に見える専門家が政治家に提言しなければなりません。

この分野は政治連盟にもぜひお力添えをお願いしたいと思っております。
しっかり議員を選び、しっかり国会の議論を注視し、必要が有れば議員の先生方の議論のお手伝いをし、国会で先生方に、国民の視点に立って議論して戴くことが大切です。

 過去、土地家屋調査士会は政治活動が不得意でした。不得意と言うよりタブーとされてきたかも知れません。自分たちへの利益誘導だけ訴える組織のようなイメージだったのかも知れません。
 でも、私たち資格者は、国民の為の専門家として資格を戴いているのですから、国民の利益になるような専門的意見を国会に届ける権利も義務も有ります。そこを自覚しなければなりません。

 土地家屋調査士会は直接政治活動ができない組織ですが、政治は語りたいと考えております。これからも政治連盟のバックアップをしっかりしていきたいと考えておりますし、政治連盟会員の増加にもご協力させて戴きたいと考えております。

 今後ともお互いに情報を交換し合い、一層強固なパートナーシップを構築し、国民のための土地家屋調査士制度を共に目指すことを提言し、祝辞に代えさせていただきます。

 本総会のご盛会と、貴政治連盟がますます発展されますことを御祈念申し上げまして、祝辞とさせていただきます。

2011年5月25日水曜日

会議の方法

本日ツイッターで会議の方法が話題になりました。そこでは少し呟いたのですが、私の会議の方法についてブログでも少しまとめてみます。
会議は議題について、判断して結論を出すことが目的です。
この最終目的を実現するには、どうすれば良いのかを考える必要が有ります。
日本の伝統的な会議方法は、聖徳太子の17条憲法の精神「和をもって尊しとなす」を曲解するあまり、ダラダラと時間を取られる会議が多いと感じていました。


私が2年前から宮城会で実施している会議の方法を以下に箇条書きします。


1.会議は開始時刻だけでなく、終了時刻も宣言する
 開始時刻だけでなく終了時刻を宣言することにより、拘束時間がハッキリし、その後の予定が入れられます。いつ終わるか分からないから、その前に仕事を入れたくなり、遅刻者が増えます。
「遅刻者がいなければ確実に終了時刻が守れる」との共通理解があれば、遅刻者は無くなるはずです。
 もちろん、会議終了予定時刻が延長になりそうなことが有ります。
その時でも、できるだけ時刻を守る努力をし、それでも「建設的な」議論が尽きなければ、再度参加者の了解を得て、終了時刻を再宣言します。


2.途中休憩時刻も宣言して、できるだけ守る
 会議中見られる光景として、参加者が携帯電話で中座したり、トイレで中座したりすることがあります。これも途中「何時ごろに休憩を入れる」と最初から宣言すると、参加者もそれまで待てます。いつ休憩になるか分からないから、中座したくなるのです。
 そのかわり余程のことが無い限り、中座は認めません。会議では参加者全員がいないと議論はできませんので。


3.当日配布資料はできるだけ避ける
 会議は勉強する場でもなく、ダラダラつぶやく場でもないのです。
会員のために決断をする場所です。
 資料は事前に配布し、参加者は当然に目を通し、会議に参加するときには、既に意見を持って会議に参加してもらいます。
 どうしても当日配布せざるを得ない場合には、その提案者は配布しながら丁寧な解説を一緒にすべきです。


4.議論よりもまず報告に力を入れ、共通理解のベースをつくる
 議論がかみ合わないときは、意見が違うのではなく、共通理解のベースが違っているのです。
普段から私たち土地家屋調査士周辺の状況や社会経済の状況などに気を配っておいて、はじめて同じ土俵で議論ができるのです。ある意味参加者同士の勉強が足りないのです。
 私が会長に就任した最初の1年間の会議の冒頭では、たくさんの時間を戴きました。
30分以上、当日の会議に必要な資格周辺事情や日調連の方向性など、研修会のように会議の冒頭で説明しました。
 同じ理由で、私が主催する会議では、各自の報告事項に力を入れています。
よく「報告事項は書類も見てください」と処理されることが多いのですが、私は「報告はしっかりと、しかも背景まで含めて報告(解説)するように」と、提案者にはお願いしています。
 共通理解のベースが一致していれば、大抵の議題で建設的な反対意見は出ても、不毛な議論にはならないはずです。


5.議題は「○○について」ではなく「○○をこのように処理する件」と提案する
 議題の提出の仕方だけでも会議の段取や内容が変わります。
「○○について」という提案だと、ダラダラと関係ない話題にもなりがちです。
会議ではなく、なんらかの勉強会ならそれも意義が有りますが、会議は何かを決める場です。
 提案者は「○○をこのように処理したい」という意思を明確にして、皆さんの意見を聴取すべきです。



訃報~松野久登会員

仙南支部の松野久登会員が、本日(5月25日)ご逝去されました。
謹んでご冥福をお祈りいたします。


お通夜
5月27日(金)午後6時から

告別式
5月28日(土)正午から

場所はいずれも
「西鳳殿」 電話0224-24-2483
白石市鷹巣字石倉11-3

喪主
長男 松野裕久 様

謎解きはディナーのあとで

仙台市内もまだ普及工事中の建物が多く、完全に問題ない訳では有りません。
私の事務所の入っているマンションも現在周辺は足場が組まれ、全部シートで覆われています。
私の楽しみの一つである映画鑑賞で、深夜に通っていた映画館である109シネマズやMOVIXもまだ再会の目処が無いようです。ということで、しばらく映画館に行ってません。

映画館に行けない時は読書が多くなるはずですが、震災以降、なかなか本を読む余裕がなく、読書量も極端に落ちました。
そんな時は「軽いミステリーの短編集」がお勧めというのが、私の経験則です。
細切れの短い時間で読み終わり、しかも知的興奮が有るという便利な読み物です。

そこで連休中に選んだのが、「謎解きはディナーのあとで」東川 篤哉(著)です。
この本は、今年の本屋大賞です。
過去、本屋大賞の本は何冊か読みましたが、まあまあそこそこの面白さが有ったから、期待して購入しました。

「失礼ながら、お嬢様の目は節穴でございますか?」令嬢刑事と毒舌執事が難事件に挑戦。ユーモアたっぷりの本格ミステリ。


まあ、この毒舌執事という設定が面白そうで、気晴らしにも良いかと思い、読んでみました。
読んでみて、ちょっと私には合いませんでした。
本当に本屋の皆さんがこの本がナンバーワンだと感じたのでしょうか。
私にはミステリーとしてもコメディとしても、中途半端に思えました。

まあ私の感性がおかしくなっているのかもしれません。
自分も含めて、私たちの業界は「毒舌」に慣れすぎていますし・・。

現代は、このくらいの軽いものがむしろ好まれるのでしょうか。
もしかしたら、最近のテレビドラマのミステリーの原作を狙っているのかもしれません。
そんな時代なのかもしれません。この本だけではなく、キャラ設定にだけ命を賭けているような、話が多くなりました。
でもそのキャラに思い入れができないのです。

古き良き時代のシャーロック・ホームズをこよなく愛する私的には、昔は質の良い短編ミステリーが有ったと思います。
昔もそれなりのキャラが立っている人物も多く、各々魅力的であったはずです。
悪役でさえ憧れられる格好の良さがあり、主人公に至っては、私に「大きくなったら探偵になる。」と言わせたキャラクターがたくさんいました。

さて、ミステリーには、意外な人物が謎を解いてしまうという設定も、昔から有りますね。
たとえば、アイザック・アシモフの「黒後家蜘蛛の会」シリーズなどは、いかがでしょうか。
権威ある有識者7人が食事をしながら謎解きの議論をしますが、結局いつも、そこにいる給仕があっさりと謎を解決してしまうという設定です。結構楽しめます。

2011年5月24日火曜日

調査士開業希望者への返信

土地家屋調査士は大儲けは難しい仕事です。

土地家屋調査士はすべて自分で動く仕事です。
誰でも24時間しかないので、自分で動く仕事の収入には自ずと限界があります。

でも、あなたは誰かに業務をやらせて楽したいですか。
それなら別の仕事の方が効率良いですよ。
自分の持つノウハウを自ら提供するから専門家です。

あなたは、どれくらい儲けたいのでしょうか。
実際、使い切らないお金を残しても仕方ないじゃないと思いませんか。
子供にはお金を残すのではなく、社会人として生きるノウハウを残せば良いのではないですか。


開業するとして、そのイメージは、どんな土地家屋調査士でしょうか。
少なくても現場にもいかず、お客さんにも会わないで、事務所でお金を数えているようなイメージではないですよね。
あなたが医者になりたいとか、弁護士になりたいとか考えたとしたら、やはり自らバリバリ動いているイメージでそれを語るでしょう。
私たち土地家屋調査士の場合も、自らの専門性で、現地で土地の境界で悩んでいる地権者たちの力になったりするイメージじゃないですか。
何年も何年も積み重なった誤解や怨念を解決して、隣接者同士、平穏に暮らせるお手伝いをするイメージじゃないですか。
大きなプロジェクトの準備段階から参加して、登記手続やその周辺手続のコンサルタントをするイメージでも良いですね。


そうなると、毎日忙しいですよ。
本当にお客様のために動くということは、時間がかかるものですよ。
それでもサラリーマンと違い、残業してもストレスは少ないと思います。

少なくても、本人が納得していないのに上司から命令された理不尽な残業は有り得ません。
残業も休日出勤も、自分で決めるからです。



頑張ってまじめに業務を遂行すると、たまにお客さんがものすごく喜んでくれることが有ります。私は涙を流しながら手を握られたことが有ります。

その時にこの仕事を選んで本当に良かったと思います。

2011年5月23日月曜日

Accountability

組織の役員は、目標達成にむけて、 問題に当事者として 取り組み、解決策を見出し、 それを実行しようとする意識を持つことが、当然の義務であるとされています。

そして今の時代、一番重要な事は、それらを組織の構成員に対して、しっかりと説明する事です。質問に答えるだけでなく、質問されなくても、どう説明したら理解し易いかまで工夫して説明する事が重要であり、義務であると理解しています。

実際にいろいろな組織を考えてみましょう。
我々が所属する日本国とその総理、東京電力とその社長、その説明に納得できているでしょうか。おそらく説明責任を果たしていると評価している国民は皆無でしょう。
これには皆さん怒りすら感じることが有るでしょう。

宮城県土地家屋調査士会はこれをとても大切にしています。少なくても私の会長2年間は、機会を捉えて、説明をして来たつもりです。
このブログもそうですし、ホームページの内容も変えて来たつもりです。各支部への出前研修もその一環でした。また各支部総会へも代理出席はできるだけ避けて、日程が調整できる限り会長本人が出席し、会員への説明と議論の時間を作って来たつもりです。
今期もこの姿勢は変えません。
これは「組織の(トップの)説明責任」です。

よく「まだ決まって無い事を流すと、混乱するから流さない。」という話を聞きます。
日調連や調査士会でもよく聞いた台詞です。
私は、大抵の場合、これは間違っていると考えています。
「まだ決まっていないが、今このような傾向になっている。でも心配するな。この件については、このように対応している。1ヶ月程度したら、少し動きが有るはずだ。その時にはまた経過を説明する。」
このように、何故説明できないのか。
自分の保身か、説明する能力が無いのか、困ったものだと思います。

またその反面、私は「組織の構成員の責任」もあると考えています。
・説明が無ければ求める責任。
・説明が分かり難ければ、さらに質問する責任。
・説明内容が駄目であれば、役員を換える責任。
それもしないで文句を言っているなら、これも単なる甘えで、困ったものだと思います。

日本土地家屋調査士会連合会も、来月総会で、役員の選挙です。
候補者が、なぜ立候補したかの説明責任もあるでしょう。
我々も組織の構成員としての責任をしっかり果たす必要があります。

2011年5月21日土曜日

もう1期2年宜しくお願いします

昨日5月20日は宮城県土地家屋調査士会第61回定時総会でした。

写真は会場の前に設置した看板です。
研修会や総会の垂れ幕や看板は、いつも古積副会長が作ってくれています。
今回の看板も古積副会長の作品で、私の似顔絵?と「がんばろうみやぎ」が入っていました。




さて今回の総会には、事務所や自宅が被災により全壊した会員も、ご自身の大変な状況の中で参加してくれました。会長として、大変嬉しく、また大変頼もしいと思いました。

この総会で、私はもう1期会長を続投させていただく事になりました。
今期の立候補には、私自身いろいろな思いも有りましたが、信任戴いたからには2年間頑張ります。皆さんよろしくお願い致します。

さて、今年度の会務執行方針を以下に記します。
今年度の会務の集中テーマである「災害復興」は、被災した会員事務所の復興、被災地域の法14条地図の復興、宮城県の地域の復興を意味します。
これらは、土地家屋調査士の専門性を発揮するからこそ、実現できる事だと思います。

我々は、既に現地調査に基づいた研究と、積極的な提言を始めています。今回選んでいただいた新役員で更にこの研究を深め、迅速に世に問わなければなりません。そのためには、日調連を始めとした各組織との連携と会員皆さんのご協力が必要です。
よろしくお願い致します。

平成23年度 会務執行方針 


 平成23年3月11日午後2時46分は忘れられない時となりました。
 宮城県栗原市で最大の震度7を観測したマグニチュード9.0という未曽有の大地震は、その後の大津波を伴い東日本の沿岸部の街を壊滅状態にまで破壊しました。この震災で宮城県だけでも夥しい死者行方不明者の数が出ました。ご冥福をお祈りいたします。
 その中でも、宮城県土地家屋調査士会会員は皆無事だったのは、当会として不幸中の幸いなことでしたが、事務所を流された会員11名、自宅を流された会員も8名いますし、ご家族や補助者に不幸があった会員もいます。辛い思いをなさっているとお悔み申し上げます。
 宮城県土地家屋調査士会では災害後すぐに災害対策本部を立ち上げ、全国の土地家屋調査士からの支援を受けながら、会員や地域の支援に当たってきました。
 震災後2か月が経つ今は、宮城県のライフラインもほぼ繋がり、平常の生活ができつつあります。
 しかし一方では、まだ余震が続き、福島の原子力発電所も収まらず、宮城県の経済も多大な打撃を受けています。避難所にいる方の移り住む仮設住宅もまだ整備がされていない状態です。このままでは、しばらく社会経済活動も低迷するでしょう。
この中で土地家屋調査士が何をすべきか、何ができるか、ここをしっかりと方向を定めて動きたいと思います。
 よって、今年度の宮城県土地家屋調査士会は、「災害復興」に集中したいと考えます。
これを強力に推進・支援する会務運営を図るために下記の事項を主たる会務執行方針とします。

1.災害復興担当部門の設置
宮城会の財力も人力も横断的に災害復興に注力する。

2.協調・協力関係の充実
日調連、東北ブロック協議会、宮城公嘱協会、宮調政連等の関係団体と協調し、災害復興に関する適確な情報交換及び一層の協力関係充実を図る。

3.職業倫理規範に関する事項の実践
日調連による倫理規範に習熟し、品位を保持した業務遂行実践の一層の普及に努める。

4.境界紛争解決制度への積極的取り組み
筆界特定制度やADR等種々の境界紛争解決制度の十分な研究をし、会員の理解と利用促進を支援する。震災に起因する紛争解決においても積極的に対応する。

5.効率的財務運用と財政基盤の充実
震災復興のため緊縮財政を取るためにも、効率的かつ有効な財務運営を構築する。

6.事務局体制の充実
事務局体制整備の検討と、一層の能率・能力の向上を図る。

2011年5月19日木曜日

明日は定時総会です

明日は宮城県土地家屋調査士会の第61回定時総会です。

私は先日申し上げましたとおり会長続投のため立候補しました。
いろいろ思うことも有り、迷うことも有り、悩むことも有るのですが、立候補しました。

会長になると腹を決めたのに、役員選任委員会に選ばれるのを待つ他動的態度は好きではないので、立候補という形式を採らせていただきました。

今回は、会長の対立候補はいないようです。もちろん信任投票も有るのですが。
もし私が再任されたなら、今までにも増して、皆さんの力を借りたいのです。

会長が一人では何もできません。

幸いにも、現在の理事の皆さんの大半が残ってくれるようですので、二期目はスムーズな始動ができそうです。

いつでも会員の皆さんとの対話を重視して、各支部にもお伺いしたり、このブログを書いたり、個別メールに対応したりしておりますが、やはり総会でないと、総括的なお話ができません。
今考えていることを、できるだけ多く説明したいと考えておりますので、このブログをお読みの会員は、仲間を誘い合って、明日必ず出席してください。

宮城会も、公嘱協会も、政治連盟も、各支部も、すべての会員が「チーム宮城」で動かないと、すべての復興は遅くなると考えています。

私は会長として、「何をしたいのか」、「何故そう思うのか」を一生懸命にお伝えします。

皆で、東北の、宮城の、土地家屋調査士の明日を創りましょう。

続)宮城会に登録移転を考えている方々へ

4月24日のブログで「宮城会に登録移転を考えている方々へ」というものを書きました。
この件で、少し補足させていただきます。

どうも、新聞も読まず、時代も読まず、土地家屋調査士の仕事を理解しないで、宮城会に登録移転さえすれば、仕事が潤沢にあると妄想を抱く方がいるようなので、もう少しご説明します。

今回の被災は、阪神淡路の震災の頃とは時代も場所も規模もまったく違います。
時代を読み、社会経済と調査士の仕事を理解したら、そんなに仕事が有ると考えることが不思議です。

東北の経済は止まっています。この震災で東北は疲弊しています。
多くの家屋が全壊又は流失しました。「だからすぐ建設ラッシュになるだろう。」と何故単純に考えられるのでしょうか。

家屋は流失しましたが、借金は流れません。職場を失った人も数多くいます。政府の対策待ちの要素もありますが、皆さんが被災者ならローンを抱えて、新たな資金をすぐに調達できますか。

仙台市内は、全壊は少ないですが、大抵の建物は何らかの被害が有ります。宮城県土地家屋調査士会の会館も修繕の見積りを取っています。結構大きな費用になりそうです。
私の事務所も半壊です。私の自宅も亀裂が入っています。
皆どこかで資金を工面しながら、最低の補修をして、我慢しながら生活をする事でしょう。
東北の人間は、これから少なくても5年から10年は厳しい生活をしなければならないでしょう。

ですから私は会長として頑張っているのです。何もしなくても宮城に住んでいれば仕事になるのなら、こんな睡眠不足で頑張る必要は有りません。


もちろん復興の仕事は期待しています。
それを被災した会員が立ち上がる為の足掛かりにしたいのです。仕事が有れば、当然被災した会員が優先と考えています。

それでも、復興の仕事が有ったとしても、ほんの一時的なものです。

本当に仕事が欲しいだけで、登録移転を考えているなら、お勧めしません。
目先の仕事や噂に惑わされずに、しっかりと自分の地域に根を下ろして、地域住民と信頼関係を築いてください。それが一番の営業になります。

決して村社会の発想で書いている訳では有りません。
わずかな仕事を抱えて、よそ者を排除するようなレベルの話はするつもりもありません。

土地家屋調査士だけの都合でこの問題を捉えても意味が無いのです。今は東北の社会全体が復興しなければ土地家屋調査士の仕事の回復は有りません。ですから今、宮城の会員は手分けして地域の為に動いています。

前回も書きましたが、これらを理解した上で、宮城に骨を埋める気で復興に立ち向かって下さるなら、全国の土地家屋調査士の皆さんが仲間に入ってくださることを大歓迎いたします。

2011年5月18日水曜日

ブログ体質

昔、作文の時間が大嫌いでした。
夏休みの宿題で作文や論文が出ると、ひと夏憂鬱でした。
その私がブログを書き始めて、しかもこれだけ続くとは、自分でも信じられません。

このブログの設定では、制限字数は特に決まっていません。
しかし、それなりの必要十分な長さが有ると思っています。
ですから書くネタが多いけれど、私の更新が遅い場合は、疲れ切っているときか、この字数に入らない内容で困っているときでしょう。
実はこの理由で時機を失い始めているネタがたくさん有るのです。

ブログを始めて1年と8か月くらいでしょうか。
ほぼ毎日書いていますので、このブログの文字数に慣れてきました。
つまり、物事をまとめるのに、この文字数でまとめる頭の構造になってきています。
ブログ体質とでも言いましょうか。

これが結構問題です。

私何かと文章やメッセージを書くことが有ります。
最近感じることは、「ブログの長さ以外の字数設定では、書きたいことを表現するのが難しいな。」ということです。

私のメールや手紙は、事務的なものを除いて、ほぼブログの長さに近い文字数になっていることに気が付きました。面白いものです。

会長として様々なセレモニーにお招きいただいてご挨拶する内容は、ブログの数倍の長さになります。これは結構難しいです。
そこで、言いたいこと以上に肉づけをします。
「まあセレモニーの祝辞等はそういうものだから、若干内容の無い定型句のような部分も必要であろう。」と割り切ります。

ツイッターは、先日までサッカー関係をROMだけしていましたが、最近友人の強い勧めも有り、書くことも徐々に始めました。
でもブログ体質の私には、あれは書きにくいです。140文字の表現は難しいですね。
もともと「つぶやくだけ」「他愛もない挨拶をしているだけ」のモノなので、そんなことを考える者は場違いなんでしょうけれどね。
でも、他愛もない挨拶だけなら、私にはツイッターは不要です。
別の手段で十分です。
何か書くならメッセージを書きたいと考えてしまいます。

私は以前から、本も書いています。

以前から継続して書いている「Q&A形式」の書籍は、私に取って書き易いです。どんどん原稿が進みます。
「何故なんだろう」と考えてみました。
厚い本でも実際はQ&Aという小問の集合体です。おそらく、その小問の長さと、起承転結がブログ体質の私に合うのでしょう。

他の「単行本」も現在進行中です。
これについては実質制限字数無しで書いています。
この字数制限無しは、私にとって以前より書きにくくなっています。
単純な起承転結のシングル構造で書いているものを、じっくりと読ませる複層する構造に書き込むことが、とても下手になってきたことに気が付きました。

また、先日ある雑誌に投稿の依頼を戴きました。
6000字強の文章を書きましたが、これにも困りました。5~7ページ前後の文章って一番書きやすかったはずなのに、意外と書けませんでした。
まあ、今回は反則技を使って文章をまとめましたが。(後日お知らせします)

という訳で、少しブログ体質を改善しなければなりません。
長い文章と短い文章もトレーニングしておかないと、何も書けなくなると感じました。

「他の体質改善もしなさい」と、どこかから聞こえてきそうですが。

2011年5月16日月曜日

法務省・仙台法務局との 意見交換会

5月13日には「東日本大震災復興支援における法務省・仙台法務局と土地家屋調査士との意見交換会」が開催されました。土地家屋調査士側としては、日調連・宮城会が出席しました。

午前中は、被災地の法14条地図をどう考えるべきなのか、また職権による滅失登記はどのような手順と優先順位で進めるべきなのか等々意見交換をさせていただきました。

被災建物の中の全壊建物は84,000棟程有るとのことですが、職権でどこまでやるかについて、たとえば非住居建物や半壊を取り壊した建物などの取り扱いについて、まだ決まっていないようです。

今回の震災で、地殻変動により、大きいところでは水平方向に5m以上ずれているわけです。
この土地の地図をどうするかが難しい問題です。

この答えとして、基準点の観測値を基に、各地図をパラメータ変換により作業をするという選択肢が、とても簡単です。国も実態を知らなければ、この方法を選択したくなると思います。
しかし、私たちはこの点については意見を言わせていただきました。

実際に現地を観測すれば明白なのですが、すべての筆界点が全部一方向に水平移動しているわけではないのです。それを単純に机上で変換計算だけで法14条1項地図として存続させるのは、大きな問題が有ると考えています。それでは、後世に争いを残す可能性が有ります。
万が一、国に予算と時間が無いのなら、まず法14条4項の「地図に準ずる図面」として取り扱い、その後修正していくべきと考えます。

午後には、皆さんに現地を実際に見ていただきました。
また、震災前と震災後の観測データとを見比べていただき、地震による被害が「水平移動と局所移動との2分類」だけでは成り立たないことを見ていただきました。

これらの研究は宮城会としても継続しておりますし、今後も日調連と連携を取りながら進めたいと思います。

とにかく被災地の現地と地図を知っている我々が意見を出す必要が有ります。
過去60年間、国民と法務行政のお役にたってきたと自負していながら、この未曽有の震災に際して、何も意見を出さないなら、専門家の肩書は返上しなければなりません。

今こそ頑張らなければ、国に対しても地域住民の皆さんに対しても大変申し訳ないことになると考えています。

震災復興支援に関する連続学習会


宮城県内の各資格業で組織している「宮城県災害復興支援士業連絡会」があります。

阪神淡路大震災の後で、私たち資格業者がその専門性を生かしながら被災地復興に役立つように、定期的に研鑽を重ねていたものです。

今回の東日本大震災においても、すぐに動き出し、各地で相談会などを開催してきました。

さて、5月14日はご案内のとおり、その連絡会主催の連続学習会が開催されました。
開催通知までの日程に余裕が無くて予定の調整にご迷惑をお掛け致しました。

先日お送りした下記通知のとおり、他の専門分野の震災関連の知識を学ぼうという連続学習会です。お互いの業界で常識である知識が、他の業界ではまったく知らない知識であることが有りますので、良い企画だと思っています。
受講者も士業連絡会の構成団体の会員なら誰でも参加できます。

第一回は社会保険労務士と土地家屋調査士の発表という事で、土地家屋調査士は私が担当しました。
他の資格者からのリクエストである建物滅失登記と筆界復元の話を中心に報告致しました。
まだ政策的に決まっていない部分も多く、経過説明のような部分も多くなりました。

社会保険労務士さんの分野は時期に応じた政策が次々に反映される分野です。
4月6日のブログで紹介しました「震災における社会保険や労災、雇用保険や助成金に関する通達」でもその一端がわかると思います。
今回も様々な論点が紹介され、良い勉強になりました。

この学習会は、以下のとおり5月28日と6月4日に開催予定されています。
参加をお勧めします。



宮城県災害復興支援士業連絡会学習会のご案内
       宮城県災害復興支援士業連絡会 会長 山谷 澄雄
 
  宮城県災害復興支援士業連絡会は、各分野の専門家職能団体の構成員が、それぞれの専門的知識及び経験を有効かつ機能的に連携し、被災された皆様の復興支援活動を遂行することを目的として組織されている団体です。
  東日本大震災発生から1ヶ月以上が経過し、構成団体毎に実施している相談業務等を通じて、それぞれの分野における知識・ノウハウ等も相当程度蓄積されてきております。
  他方で、それぞれの分野において、当然に常識となりつつある震災関連の知識も、他団体から見れば、全く知らない知識であったり誤解していたりする可能性も否定できません。
 そこで、各士業団体において、他の士業団体の会員にも、是非とも知っておいて欲しいといった情報について、それぞれが報告し合うことを通じて、「専門的知識及び経験を有効かつ機能的に連携」し、今後の復興支援活動に役立てるべく、学習会を実施することとしました。
 つきましては、震災相談にあたられている各士業団体の会員の方々にとって大変有益な情報交換の機会となりますので、是非、多くの会員の皆様にご参加いただきたくご案内申し上げます(なお,参加は無料です)。
◆第1回 学習会
日 時:平成23年5月14日(土)午前10時~午後12時
場 所:仙台弁護士会館 4階大会議室
報告者:① 宮城県社会保険労務士会 会員
    ② 宮城県土地家屋調査士会 会員

◆第2回 学習会(予定)
日 時:平成23年5月28日(土)午後4時~午後6時
場 所:同上
報告者:① 宮城県建築士会 会員   
    ② 宮城県司法書士会 会員

◆第3回 学習会(予定)
日 時:平成23年6月4日(土)午後2時30分~午後4時30分
場 所:同上
報告者:① 宮城県行政書士会 会員
    ② 東北税理士会 宮城県支部連合会 会員

※各1時間程度で、震災後に各士業に寄せられた相談事例を中心にご報告いただき、質疑応答等も受け付ける予定です。 

2011年5月15日日曜日

日調連特定認証局ICカード更新

皆さん、オンライン登記申請に使う日調連ICカード更新は、お済みでしょうか?
正確には「日本土地家屋調査士会連合会特定認証局電子証明書」と言います。ちょっと長いですね。

早い人はもう新しいカードで登記申請していることと思います。
私も申し込みを済ませました。

この申し込みは、有効期限満了日の一か月半前までに利用申し込みをして欲しいとのことです。
私の事務所に送られた申込書の記載によると、震災のために日調連から送付することが一時保留されていたようです。よって通常よりも少し余裕がない日程で送られてきています。

「期限満了日まで余裕だな。」と思っていますと、申込期限が一か月半前ということで慌てるかもしれません。もう一度、ご自分の有効期限と、申し込みの有無をご確認ください。

また、まだオンライン申請を始めていない会員は、そろそろ始めてみてください。
以前研修会で説明したころよりも、最近はかなり便利になりましたよ。

問題が無い訳では有りません。
添付図面の処理の技術的問題や取扱い時刻の問題、一番大きいの添付情報の取扱いの問題です。

添付図面の処理については、まだ技術的問題が残っているようです。
また、取扱い時刻に関しては、平日の8時30分から20時までですね。以前よりは対応時刻が長くなりましたが、他の365日24時間対応のオンラインサービスに慣れていると、ちょっと不便ですね。

添付書類の問題とは、表示に関する添付情報の非定型性からくる問題です。これが、巷で「半ライン」と言われる原因です。
不動産登記法で調査報告書を位置づけたのは、この添付情報の解決の為だったはずですから、もっと土地家屋調査士の調査を信用してくれれば、簡単に解決するのですけどね。そうすれば、オンライン申請率は、間違いなく倍になりますね。

ですから、まだオンラインのシステムは不完全です。
しかし、皆さんも同意見だと思いますが、一度オンライン申請を始めると、今のままでもメリットが有ることを感じると思います。

少なくても、私はもう書面申請に戻れないと思います。
そんな状況で有効期限が切れたら、大変不便です。ブランクができないように、申し込みについて再度ご確認ください。

2011年5月12日木曜日

震災から2ヶ月

震災から2ヶ月が過ぎました。
あれから沢山の出来事がありました。濃密な2ヶ月でした。
それ以前の自分のブログを読み返してみて、震災前がすごく昔のような気がします。

しかし、仮設住宅も、地域復興も、原発処理も、何も解決されていません。
小さな話では、私たちが復興の為に動こうとする業務もまだ何も有りません。

被災地は建築制限がかけられています。自分の土地に再建もできません。いつどのような解決をする為にこの制限があるのかの具体的で明確なビジョンも示されていません。

原発を抱える福島は本当に気の毒です。
建物が無事に建っているのに、そこに住めないのです。仕事もできないのです。

家族も仕事も失った避難所の被災者は、生きているのが辛いのです。

今日の生活が過ぎていれば無事なのでは有りません。
物資も法律相談も確かに必要です。
でも、今被災者に一番必要なものは、「未来への希望」なのです。

政治家に一番求められるのは、この希望を掲げて「だから国民全員で頑張ろう。」というメッセージなのです。

必死で闘っても、ボーっとしていても、こうして日が過ぎて行きます。
半年後のブログに、「まだ何も解決されていません。」という投稿は書きたくありません。

2011年5月10日火曜日

会長続投します

本日5月10日は常任理事会が開催されました。
常任理事会もこのメンバーでは最後の常任理事会になります。
20日の総会で役員改選があるので、若干の入れ替えが有るかもしれません。

2年間、走り回る会長を支えてくれた常任理事のメンバーに感謝しております。
今の常任理事は皆、全国の他会の役員に比べても、勝るとも劣らない活躍をしてくれたメンバーです。
できればそのまま全員が留任してくれれば良いのですが、そうもいかない事情も有るかもしれません。

「では、鈴木会長はどうするのか?」というご質問も戴いています。
ここでお答えすることが適切かどうかわかりませんが、お答えいたします。

私はもう一期会長を続投することにしました。

私が会長に就任した2年前の総会で、「宮城会を今後10年社会の変化に問題なく対応できる組織に早急に変える。」と申し上げました。
周りの方々には、「そして一期で辞める。」と申し上げておりました。

「一期では何もできないよ。」とアドバイス下さる方もいらっしゃいました。
私は「一期で何もできない人は、二期でもできない。」と思っていました。

「二期四年が慣例」というお話も有りました。
私は、「役員任期が慣例で決まるなら、その組織はものすごく成熟しているか、まったく会員が無関心な組織であるかのどちらかである。」と考えています。

私の場合、お蔭様で理事や事務局のスタッフに恵まれて、この一期で、やりたいことは結構できたと思っています。

そこで、役員を全部引退して、奥さんとベガルタ仙台のアウェイ参戦三昧をするつもりでした。

3月11日まではそのつもりでした。

今宮城会は震災により、緊急を要するものも、長期的なものも、やることが突然山積みになりました。
関係各所との協議、日調連との折衝、全国の支援者との打ち合わせ、被災会員の個人事務所復興のアシスト、地域住民の皆様への支援等々、毎日進行中です。

今は、もう少し働きなさいと引導を渡されたと考えています。

地域も業界も一部の人間だけで復興ができるわけではありません。
本会、支部、公職協会、政治連盟、青調会、個々の会員が「チーム宮城」として一体として動かなければなりません。

私は覚悟を決めました。奥さんにも待ってもらいます。
皆さんと一緒に頑張りたいと思っています。

被災測量機器への支援

私たち土地家屋調査士は、測量機器が無いと仕事になりません。
たとえ仮設住宅にいても、手元にトータルステーションが有れば、気持は土地家屋調査士でいられます。

今回の震災で測量機器を失った会員へ、全国からの支援のお話があります。
ありがたい話です。
全国の土地家屋調査士の仲間が、自分で使っている測量機器を調整整備して、提供してくださるお話です。
中古ですが使えるものを提供戴き、それを使いながら、被災した会員が自力で立ち上がる切っ掛けとしてもらう目的です。
これは、組織としてではなく個人的繋がりの中でのご好意ですので、本当に困った方に限定させていただいていますし、該当者には既にご連絡しています。

またこの件については、別の話が有ります。
本日トプコン販売の社長が、宮城県土地家屋調査士会館にいらっしゃいました。
ご相談の上、新品の測量機器を一年程無料で貸してくださるという事になりました。
一年後返却又は格安で買い取る事もできるそうです。
これもありがたい話です。
選択肢が増える事は嬉しい事です。

この話は組織としてお受けし、調整の上、2〜3日中に皆さんに正式にお知らせします。

2011年5月8日日曜日

Reebok traintone

私、連合会理事や副会長、会長と役員に成ってからは、まとめて運動ができず、「昔ね、トライアスリートだったんだよ。」って言っても、誰も信用しない体型になってきていました。

たまに夜中にスポーツジムに行ったりしていたのですが、それも少し億劫になっていました。
何かをやるということは、時間の捻出だけでなく、精神的な余裕もないとできないものです。また逆に体力が無いと精神的余裕もできないということも有ります。
負のスパイラルに陥り始めていたようです。

私は、もともと歩くのは好きで、たまの休みは夫婦で散歩をしていました。
(ちなみに私の奥さんは、私よりはるかにアスリートです。)
また、仙台市内の仕事をするときには、歩いていくことも多いです。
駐車場探しや地下鉄待ちをすることまで考えると、結果的に同じ時間の場合も多いからです。
例の階段登りもしています。

それでも隙間時間の活用程度の運動です。
たかが知れています。

そんな時にあの震災でした。
被災者としても支援者としても、何をするにも体力が必要でした。
一番の震災対策は、体力維持だと感じました。

あの時はどこにもガソリンが無く、仕方なく通勤も含めて一日中歩いていました。
毎日継続して、あれだけ動くのは久しぶりで、むしろ楽しめました。

それ以来、以前に増して意識的に歩く時間を確保しています。

時間が無い中で歩く時には、例のMBT(マサイ・ベアフット・テクノロジー)を使っていたのですが、震災後、最近はやりの「リーボックのイージートーン」の派生商品「トレイントーン」を買いました。
トレイントーンは走れるのです。
「いざ」と言う時には走れる方が良いかと思ったのです。

色は当然ベガルタゴールドを選びました。
(以下の写真では、靴底回りの色は、「柏レイソル」の色に見えますが、実物は「ベガルタ仙台」の色に近いです。)





発想はMBTと同じで、靴底であえて不安定な着地面をつくり、普段使わない筋肉まで鍛えることになるようです。
MBTの方がはるかに不安定感があるので、トレーニング効果が有りそうですが、イージートーンのシリーズと比べてみると、現実的には走れません。MBTは安全な場所での散歩に向いています。

見た目については、さすがにリーボックの方が格好良いですね。
値段もMBTの1/3から1/2ですし。
もう少し高くて良いからビジネスで使えるデザインが欲しいですが。

MBTとトレイントーンは、しばらく使い分けてみます。

2011年5月7日土曜日

遠い地で悩んでいる方に

被災地にいる人間だけが精神的に苦しんでいるわけではありません。
遠い地から「被災地の知人や親戚に対して何もできない。」と苦しんでいる方もいます。

「被災地にまったく知り合いがいないと、ちょっとの連休で気楽にボランティアにも行けるけれど、縁が深い知人や親戚がいるところには、数日では帰れない。かと言って、その余裕も覚悟も、今の自分には無い。」
きっと、そんなことを考えるのでしょうね。

どのような関係か分かりませんが、被災地の人間はそこまで考えていないかもしれません。
もっと楽に考えて良いと思います。

日帰りであっても、良いと思います。
「定期的に」顔を出してくれたら、大感激でしょう。

いつもこのブログでお話ししているように、支援には、人其々いろいろな形態が有ります。
スコップを担いで被災地に入るだけが支援ではありません。
支援物資や義援金を送ることだけが支援でもありません。
手紙やメールや電話の励ましだけでも大きな支援になります。
各々できる分野を、できる範囲で良いと思います。

「金持ちならこれくらい義援金を出せるだろう。」とか、
「暇だから1ヶ月くらいボランティアに行けるだろう。」などと、
他人が言うことは気にしなくて良いのです。
各々、誰でも他人にはわからない事情を背負っています。

被災地はこれから長丁場の闘いが有るのです。
東北経済が回復するには10年はかかるでしょう。
今集中して支援を戴くこともありがたいですが、
支援する方が息切れしたら共倒れです。
細くても長い支援が欲しいのです。

今支援に出遅れてしまったと思う方。
3月23日のブログ「あなたの出番」をご覧ください。

5月1日の「被災者にかける言葉」で書いた挨拶を、
遠い地で悩んでいる方にも贈りたいと思います。

「ゆっくり行きましょうね。」
「無理しないでね。」

2011年5月6日金曜日

連休とボランティア

世間はゴールデンウィークでした。

被災地はそれどころじゃない人も多いです。
そこで全国から大勢の人たちがボランティアとして働くために、この連休を利用して東北に来てくださっています。
ありがたいことです。
その中で「数日働いただけではほとんど問題解決にならない。」とおっしゃる方がいました。
その方は土嚢を運んだそうです。
一日、重い土嚢を一生懸命運んでも、海岸を何メートルも塞げないとのことでした。

そうです。
簡単に問題は解決できません。
時間はかかるのです。
でも少しでも進めてくださったのです。
それが有るから復興も有るのです。
心から感謝します。

ボランティアの皆さんに一番お願いしたいことは、土嚢を運びながら、しっかり冷静な目で被災地を見て欲しいことです。
現地で見た人じゃないと実感できない現実が有ったはずです。
それを全国の皆さんにお伝えして欲しいのです。
全国がこのような災害に遭わないという保障はありません。
この経験を全国に伝えて欲しいのです。

私も新たな目で被災地を見るために、少し動きました。
ボランティアというよりも土地家屋調査士として復興に何ができるかを再度確認するためです。私自身は被災者ではなく、支援者のつもりです。

東北の人間が誤解を恐れずに申し上げれば、今回の被災地は確かに東日本ですが、当事者は日本人全員だと思っています。
各々が各々のポジションで何ができるかを考えてみましょう。
宜しくお願い致します。

2011年5月4日水曜日

サポーターの絆


 5月3日はベガルタ仙台vsアビスパ福岡の試合が有りました。
聖地ユアテックスタジアム仙台には、大きなレプリカユニフォームとその中に「がんばろう!宮城・東北」の文字が掲げられていました。

我がベガルタ仙台の選手も、前回の強豪浦和レッズとの戦いで、肉体的にも精神的にもギリギリの状態だったと思います。
あの緊張の連続の試合の中でやっと勝った後の試合は、得てしてコロッと負けることが有ります。今回はその緊張感をどこまで保てるかが一番の懸念でした。

福岡は今年J1に昇格したチームで、なかなか結果が出ていませんが、決して弱いチームではありません。過去の対戦成績もいい勝負でした。

しかし、選手は今回も頑張りました。

選手のコンディションは悪そうでしたが、楽に進めようと思っている者は一人もいませんでした。
気持ちが入っていると、一歩の歩幅が変わります。スピードも変わります。相手とのコンタクトの強さも変わります。

結果は皆さんご存知のように1-0で勝利し、「現在J1首位!」という結果になりました。

決勝点を挙げた赤嶺は前半で捻挫したにも関わらず、86分交代まで走り続けました。ゲームが止まるたびに痛そうに脚に触りながらも、78分の決勝点の時にはキーパーを超す大きなジャンプと勇気を見せてくれました。
彼を含むベガルタ仙台の選手全員は、最後まで精神力で肉体を抑え、戦う姿勢を見せてくれました。

さて、先日浦和のサポーターは3700人程来てくれましたが、今回の福岡のサポーターは70人程とのことでした。
今福岡との直行便が回復していないのです。来たくても来れないサポーターも多かったでしょう。

東北は今回の震災で、本当に多くのJリーグの選手にもサポーターにも支援していただきましたが、このような環境の中、今回の福岡のサポーターの皆さんも、自動車で1300kmを19時間かけて支援物資を持ってきてくださいました。

また、彼らは、選手入場の際には以下の横断幕を広げてくれました。

「日本はひとつ、共にがんばろう!」

本当にありがとうございます。心が籠った応援、本当にうれしいです。
同じサポーターとして、日本人として「絆」を感じます。


2011年5月1日日曜日

被災者にかける言葉

「辛い環境で頑張っている人に「頑張って」という言葉はむごい言葉である。」という見解があります。
分かる気がします。
被災者は既に頑張っているのです。
または、頑張りようが無い状況でも有ります。
「もうこれ以上何を頑張れと言うのだ。」という思いでしょう。

「一緒に頑張ろう。」って言ったら「あんたに何がわかるか?」って言われるかもしれません。
「前を向こう」と言っても「未来なんか考えられないよ。」とも思うかもしれません。

そう考え始めたら、被災者に何も言葉がかけられなくなりますが、それが一番良くないのです。

もう「頑張って」という言葉は、日本語として挨拶に近い言葉になりつつあります。
でも、その挨拶に近い言葉でも辛く聞こえるくらい、被災者は辛い思いをしているのです。
だからこそ、その人たちを一人にはできません。

この時期一番必要なものは、やはり「声がけ」だと思います。

支援物資よりも「いつも心が繋がっているよ。いつでも助けるよ。」というメッセージだと思います。真心を込めて声がけをするしかありません。


被災者は今辛いのです。今すぐには受け入れにくい言葉であっても、声を発する人に真心が籠っていれば必ずわかってくれると思います。

皆で(お互いに)声がけをしましょう。

「おはようございます。」
「こんにちは。」
「今日は暖かいですね。」
「何かお手伝いできる事は有りますか?」
「具合は悪くないですか?」
「何か困っていませんか?」
「応援していますよ。」
「ゆっくり行きましょうね。」
「無理しないでね。」


追記)5/2 10:50
もちろん「頑張って」でも、心が籠っていれば、使えない言葉とは思っていません。