2010年3月4日木曜日

♂ オスを作るコスト

以前も書きましたが、私、大学の専攻は理学部生物学科でした。理科の教員免許も持っています。と言っても何十年も前の話で、何も覚えていませんが。

私の大学当時は、生物に分子生物学の手法が入ってきた頃で、どんどん分子レベルで生物のメカニズムが解明できていた時代です。今まで分からなかった生物の仕組みが、新しい手法によって詳しく分かってきたという頃でした。
それらを見て、生物は本当に緻密で素晴らしい設計になっているんだと心から感動しました。しかし、それによって新たな疑問が湧いてきます。このような緻密な設計は本当に自然淘汰等でなされたのか、やはり創造主が設計したのではないのか。本当にそう思いたくなってしまうほど計算されたような見事な設計です。
ただ後者の議論は理学部ではできないですから、生物研究者の端くれとしては顕微鏡を覗いては悩むわけです。
今は測量器の望遠鏡を除いて悩んでいる訳ですが・・。

さて、雌雄の話です。これも本当のところは分からないのですが。
無性生殖の生物がある中で、なぜ有性生殖の生物があるのでしょうか。
無性生殖の、例えば分裂は、一般的に養分が無いときはじっとしていて、養分が増えると分裂して増殖します。合理的ですね。
それでは無性生殖で次世代をつくればよいところ、わざわざ大変な生物的コストをかけてまでオスを作ることはどんな意味があるのでしょうか。(ちなみに生物の基本はメスで、発達の過程で遺伝子によりオスが形成されます)

無性生殖は同じ遺伝子で次世代が作られます。もしそこに新たな環境に適合できない弱い形質があれば、それもそのまま受け継がれますので、その生物は絶滅する虞があります。

有性生殖の場合は親の遺伝子を半分ずつ出し合って新たな子を作るので、たとえ遺伝子に欠陥があったりしても修復できる可能性があり、新しい環境や新しいウィルス等に対抗できる身体を作ることができる可能性も有ります。

複数の性を作るのは大変複雑なコストを伴います。それでも環境の変化に対応するにはどうしても有性の方が合理的なのでしょう。
この性が有ることによる悲喜こもごもは、人間も含め様々なドラマが有るのですが、これは別の機会にお話ししましょうか。

土地家屋調査士も60年の間、調査士から補助者への徒弟制度の中で、その遺伝子の承継は無性生殖のような状態ではなかったのでしょうか。環境の変化に対応するためにも、新たな遺伝子を導入するコストも考えなければならない時代に来ているかもしれません。